39飛行船
現在、僕と空子は船に乗っていた。海に浮かぶ船ではなくて空中庭園に向かうための飛行船にいた。
「飛行船も気持ちよくていいねー」
外のデッキから空子が景色を眺めていた。今日は飛行能力や瞬間移動を使わず飛行船にした。
飛行能力にしろ瞬間移動にしろ、魔法使いですらできないような芸当をしてしまうと、僕がまた悪目立ちする。人によってはあまりに強い能力がゆえに得体の知れない奴だと、悪い印象を与えてしまう。なので、今回はごくごく普通のルートから目的地である空中庭園へと向かっていた。
強めの風があたる。飛行する時は浮遊感があるけれど、重力を感じながら高い場所にいるのも気持ちがいい。
「お客さん、そろそろ目的地に着きますんで、ちょっと中に入ってくだせえ」
「わかりました」
操縦士のおじさんが僕たちに声をかける。そろそろ着くようだ。
僕たちは船内に入って席に座る。他にも数人乗客がいて、席についている。
飛行船は上昇を始めて、雲を越えようとする。雲の中に入ると、船が揺れる。
雲を抜けると、景色が変わる。
目の前に空中庭園が現れた。
空中庭園はボールのような形をしている。下の半球には庭園や施設があり、上の半球は透明なドームになっている。
飛行船は下半球にある桟橋に係留した。僕たちは船を降りた。
すると、ひとりの男性が待っていた。
「ようこそ、空中庭園へ」
「こんにちは。また会いましたね」
僕は彼と面識があった。
彼は、花の国にいた執事だった。




