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夢の世界で淡々と生きる  作者: 送間
2章 夢の中の魔女
32/100

32魔女

魔女は美しく、妖艶だ。整った顔で、瞳は光を吸い込みそうなほど黒い。しなやかな肉体は衣服に張りついて、身体の輪郭が丸見えになっている。


「お待ちしておりました。中へどうぞ入ってください」


魔女は薄い唇でかすかに笑みを作る。魔女は空子を見て、


「ところで、そちらの方は……勇者様の愛人ですか?」


「え、いや、空子は」


「ボクは正妻(せいさい)です! ねー、ご主人様?」


空子が僕の腕に絡みついて、大声を出す。


「そうなんですか勇者様?」


「あー、えっと……」


確かに空子は理想のヒロインとして生み出したから、正妻と言えなくもないが、いきなり重い関係になってきたな。


言葉に詰まっていると、絡みついた空子が力を込めて、僕の腕が(きし)んだ。


「そうだよね! ご主人様!」


「う、うん。空子は、僕のパートナーだよ」


「そうでしたか、勇者様にお相手が……。おめでとうございます。私にもし力になれることがあれば、手伝わせてください」


魔女は空子に頭を下げる。


「そうね、何かあったら、その時はよろしくお願いしますねー」


「はい、どうぞよろしくお願いいたします。勇者様とは昔、一緒に旅をしたり魔法の共同研究をしたりしてました。プライベートでも大変お世話になっております。これからは勇者様だけでなく、空子様とも仲を深めていきたいです」


「ふーん……。ボクもご主人様とは長い付き合いなんだ。一緒にいるようになったのは最近だけどね。まあ、ご主人様という共通の話題があるからね、じっくり、話をしましょうかー」


「はい、ふふふ……」


「あはははー」


(な、なんだ……なぜか緊張のある空気だ)


この空気に耐えれないので、僕は話を切り出した。


「えっと、じゃあ、また部屋に行けばいいのかな?」


「はい、私の部屋に行きましょう。空子様、こちらです」


魔女が前を歩いていく。僕と空子はついていった。


魔女は後ろのふたりを見ながら、


(勇者様に伴侶(はんりょ)が……。世界に変化が起きそうですね……)


そう心のなかでつぶやいた。

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