3ヒロイン空子の召喚
魔法陣の青白い火花が消えた。魔法陣の真ん中には、ヒロインがいた。
「やっほー、ご主人様。またボクを呼んだのー?」
「空子! また呼ばせてもらったよ!」
そこには、ひとりの女性、僕が想像して生み出したキャラクター『空子』を召喚した。
肌は白く、肩まで伸びた髪は色素の薄い青。
身長は157センチ、体重57キロ。
服装はローブで、その下はへそ出しルック。
ボクっ娘でボーイッシュな印象にした。
アニメやゲームのキャラクターを参考にしてイメージを膨らませて、空子を作り出した。
「ご主人様と会ったのは、えーと、何回目でしたっけ?」
「えっと、45回目だね」
僕は『夢の中の日記』をめくって確認した。
夢の中の日記に書いておいた記述は、画像として僕の記憶の中に深く刻まれて、次の僕が夢の世界に来ても覚えていられる。
「今回もモワモワーって消えない、ボク?」
「大丈夫だ! 現実で黙々と空子のファンアートを描いてイメージを具体的にしてきたぞ!」
空子はこだわって生み出したくて、素人なりにたくさんデザインを練ってはやり直し、それを繰り返しているうちに、他のキャラクターよりも夢の世界で具現化するのが難しかった。
最終的にファンアートを描きまくって、やっと具現化が成功して、夢の世界に定着できた。
僕は現実で描いたファンアートを研究室の壁に貼る。どれもヘタクソだが全て描き切った。
「おー! かわいいねー。というか創造主であるご主人様が描いたイラストなら、それは一次創作だと思うけどね。まあ、そこまでボクをひとつの人格として認めてるっていうのが良いのかもねー」
空子は魔法陣から出て、僕に近づく。
「で、ご主人様。今日はどうしてボクを呼んだのかな……? エッチなこと?」
空子が前に屈んで、僕を上目遣いで見る。
「いや! 違うよ! それは最初の気の迷いだ! これからはもっと空子のことを尊重するぞ!」
「もー、いつの間に、そんな他人行儀に……ボクのこと好きすぎるぞー。まあ、いいや、エッチなことはご主人様の気分に任せて、今日もゆるーく遊ぼうー」
そういって空子は僕の横を通り過ぎて一階へと降りて行った。
空子の元気な姿を見ると、晴れやかな気持ちになる。
僕のヒロイン、最高!
グッとガッツポーズをした。