23ライムとガウにお別れ
スライムの体液でぐちょぐちょになった。
沼にいるスライムに、今回の一件についてどうなったか伝えたところ、喜んでくれた。スライムは感謝の気持ちからか、僕に抱きついてきた。それで僕はぐちょぐちょになった。
スライムが黒の森に戻る日を決めた。予定の日はガウが黒の森までスライムを守ってくれるそうだ。
「スライム、っていうか、君には名前があるかい?」
「ない。名前が必要なら、あなたがつけてほしい」
「うーん、そうだな……。スライムのスを抜いて、ライムなんてどう? 果実の名前でかわいいし、色もちょっと近い気がするし」
「ありがとう、それがいい。私はライム。勇者、これからも友として会えたら嬉しいです」
「もちろん、また会おうね」
僕は手を出す。ライムは突起物を出して、僕の手に触れる。
新しい友達が出来た。
これからも友好関係を結ぶために、色々していきたいな。街を観光したり景色を見たり釣りをするのもいいけど、友達と会話するのもいい。実際、今回だってライムの友達になりたいのもあったけど、空子とガウと一緒にいられただけで充実感があった。またやろう。
僕はライムと別れた。その後、空子とガウと一緒に獣の国へ戻り、ついでに買い物なんかをした。
時刻は昼になっていた。夢の世界に来る時はなんとなく朝から始まる。モンスター退治や移動で二時間ぐらい経ったようだ。
買い物を済ませた後は、獣の国から出た。ガウともお別れだ。
「今日は楽しかったよ勇者、アンタといると毎日飽きなくて楽しそうだ」
「はは、いつも面倒なことに巻き込んでごめんね」
「今度はもっと巻き込ませてくれ。あー、でも空子と話すのも楽しかった。アンタのこと色々教えてもらってよかったよ」
「え!? 空子、なんか余計なこと言ってないよね!?」
「んー? ボクは世間話をしただけだよー。決してご主人様の性癖とかについては言ってないよー」
「言ったの!?」
「空子を責めるな。なに、空子のおかげで前より勇者と親しみやすくなったよ。寂しくなったら、いつでもアタシの家に来ていいぞ。空子と一緒にでも、ひとりでも」
ガウは挑発的な目で僕を見る。絶対余計なこと言ってる!!
別れ際で寂しさより動揺でいっぱいになった……。