結花さん家お泊まり②
「お待たせー」
ふわふわ膨らんだパンケーキが運ばれてくる。
俺が座っているところの、目の前のテーブルに皿を並べる。
「一緒に食べよ?」
「うん!」
結花はホイップクリームとかジャムとかも持ってきてくれた。
最初は何も塗らずに頂く。
「ふわふわしてて美味しい……!」
「えへへ、パンケーキ作るの結構得意なんだー」
パンケーキを頬張る俺を見て、結花は嬉しそうに微笑む。
「たくさんあるから一杯食べて?」
「もちろん!」
山盛りのパンケーキが続いて出てくる。まだまだ一杯食べれそうだ。
「美味しかった……! ごちそうさまー!」
「うん」
結花は完食した俺を見て、満足そうな表情をする。
だいぶお腹が膨れたなあ。
「今から何するー?」
「そうだね……」
俺ん家だったらボードゲームとかあるけどなあ。まあ俺は結花の家に上がれた時点でウキウキしててテンションMAXだから、結花とずっと座って話してるだけでもいいんだけど。
「あ、映画とか見る?」
「いいねー!」
「お泊まりがあるから借りてきたんだー」
結花はそう言って俺をリビングに手招きする。
リビングも広いんだよなあ。当たり前だけど。テレビの画面も大きい。
俺が知ってるリビングとかテレビの大きさじゃない。
結花がテレビの電源をつける。
俺たちが観る映画は、恋愛ものみたいだ。タイトルは聞いたことあるような。普段からこういうの見てるんだろうか。
2時間弱の映画を観終わった。最後のキスシーンとかで結花が俺の方をちらっと見てきたような気がした。
「感動したー! 良い映画借りてきてくれてありがとう」
「あ、うん」
ん? なんか言いたげな感じなんだけど。
「……ゆうくんって、ほんとに鈍感なんだね」
「なぜそうなる……!?」
結花はより俺になにか言いたげな表情をする。じとーっとした目線で俺を見ている。
「……まあ、まだまだ今日は終わらないし、チャンスはあるよね」
独り言のつもりなんだろうけど、聞こえてるよ?
たぶんだけど、映画見てイチャイチャしたかったのかも。これで違ったら、今度から自意識過剰マンって呼んでくれ。
あ、その推測で行くと俺ふつうに鈍感だったわ。
その後、少し早めの夜ご飯を食べ終えて、窓の外を見ると、すっかり暗くなっていた。
「もうお風呂入る?」
「俺、先入っていいの?」
「……まあ、先も後もないけどね」
「え? なんか言った?」
「いや? なんでもないよー」
今回は結花がなんと言ったのか聞き取れなかった。
「じゃあ、行ってきます」
「うん」
結花の様子が気になったけど、たぶん先にお風呂行っていいみたいなので行ってきます。
「おー、広いな……」
さっきから「大きいor広い」botになってるかも。でも語彙力を失うには十分すぎるんだよな、結花の家の設備。
「なんかライトもついてる!?」
なんでお湯が虹色に光るようになってんだ。これ絶対後からつけたよね。
「めっちゃ気持ちいい……」
背中に泡が当たるのを感じる。プールにあるやつだー。一ノ瀬家は特にお風呂を重視してんのか、って具合に設備がすごい。
俺がお風呂を満喫していると、扉ががらっと開く音がした。
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