結花さん家お泊まり①
「今日何時ぐらいから来れそう?……あ、私がゆうくんの家に迎え行こうか?」
朝起きたら結花からメッセージ来てた。待ちに待ったお泊まりの日がやってきたんだ、と改めて実感する。
「10時ぐらいに俺が結花の家の下まで行くよ」
「わかった! 楽しみにしてるね」
すぐ返信が来る。
もう準備は万端だから、今すぐ行ってもいいくらいなんだけど。流石に迷惑かなと思いまして。
結花の家のタワマンの下までやってきた。何階建てなんだろ。30ぐらいかな? 階段上ればダイエットできそう。
最近海とかで運動したし、今回はエレベーターに甘えておこう。
「おはよう、ゆうくん」
「おはよ、お邪魔します……!」
「どうぞー」
恐る恐る第1歩を踏み出す。
まず玄関が広いんだけど。高級な感じのいい匂いするなあ。なんかよく分からない多肉植物が置いてある。
「ん、どうしたの?」
「ゆうくんが初めてだなーって思って」
「……へ?」
「私とお母さん以外の人がうちにあがるの」
なんだ。何が初めてなんだ?って思ったよ。……別に、何も想像してませんからね!
まあでも結花にとって初めての彼氏ですし? キスも初めてでしたし? 色々「初めて」を作ってるかも。そう思ったら俺って幸せだなあ。
「あ、お母さんはたぶん今日も帰ってこないと思う」
「そっか……」
「だから、リラックスしてて大丈夫だよ! あ、私の部屋行こっか」
結花のお母さんってどんだけ忙しいんだろ……。タワマン住めるぐらい1人で稼いでんなら忙しいのは当たり前か。
でも、部外者の俺が言えることではないけど、もう少し結花との時間も作ってほしいと思う。
それはそれとして、流れるように部屋に誘われたんですけど。結花が俺の部屋(というか家)に入るのと訳が違うよね?
……女子の部屋上がるの、初めてだな。 なんか急に緊張してきた。
「失礼します……?」
「あはは、普通に過ごしてもらって大丈夫だよ」
彼女の部屋に初めて上がって、普通に過ごすことができる男子はいるか?
否ッッ!
部屋の真ん中でちょこんと座らせてもらって、辺りを眺める。ふわふわとした結花の香りがする。
まず、視界にふかふかしてそうなベッドが目に入る。
「ベッド大きいなあ……」
「あ、1人で寝るのには大きすぎるけど、2人で寝るんならちょうどいいと思うよ! だから、今日は一緒に寝ようね?」
しれっと大胆なこと言っちゃったよ、結花さん!
「う、うん」
俺はベッドをちらっと見て言う。そういや寝ぼけた結花はさらにデレデレ度が上がってデレを司る(?)女神になるんでしたね。
「って、まだお昼ご飯も食べてないのに夜の話してたね」
「たしかに」
うん、今まだ10時でした。
「ゆうくんは食べたいものある?」
「結花が作ってくれるものならなんでも食べたいけど……んー、パンケーキが食べたいかな」
「パンケーキね、わかった!」
「あ、俺手伝うよ」
そう言って俺は立ち上がろうとする。
「お客さんは部屋でゆっくりしてくださいね?」
「え、いいの?」
「うん、すぐ作るから待っててもらって大丈夫だよ」
結花がキッチンに向かって、結花の部屋には俺1人だけになる。
なにしよ……。 もう一度結花の部屋を見渡してみる。
全体的に綺麗なんだけど(当たり前)、机周りほんとに綺麗だな。
教科書類とかが大きさも考えて揃えて置かれている。勉強しやすそう。
机には、いくつか写真立てが置いてある。
クリスマスの時のとか、ひたち海浜公園に遊びに行ったときとかの写真が入っていた。
「懐かしいな……」
また色々結花と行きたいなと強く思った。
そしてまた大きなベッドを見る。
今日の学び=無自覚な誘惑が男子を殺すのには最強の武器である。
一通り部屋を見たので、パンケーキをわくわくしながら待つことにした。
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