川遊び
コーヒーを味わった後、チェックアウトまで遊びまくることにした。
そんなに深い川ではないので、サンダルさえ履いておけば川に入れる。
「冷たくて気持ちいいね」
「うん」
俺も手を流れの中に突っ込んでみた。
結花も白のTシャツに、黒のハーフパンツで川に入れそうな、見た目的にも涼しげな格好をしている。
「魚っているのかな?」
そう言って、水をバシャバシャさせながら結花は浅瀬を歩く。
「ゆうくん、あれって魚だよね?」
「お、たぶんそう」
向こう側の岸あたりに、動いてる影が見えた。
「まあでも、素早いから捕まえれないと思うよ?」
「そう言われたら、捕まえたくなってくるね」
おっと、結花の闘志スイッチを押してしまったみたいだ。にこっとした笑顔だけど、瞳はマジな感じだ。
しばらく水しぶきを上げて魚を追いかける結花を眺めとこう。
もう少しで取れそうな感じではあるんだけど、手を伸ばそうとするとフェイントを仕掛けられて逃げられてる。
「あはは、速いね」
結花が引き上げてくる。あの……だいぶ水被ってませんか?
俺は少し顔を背けて、タオルを手渡す。
「ん?」
って言いながら俺の顔を自分の方に向けようとするのやめてくれませんか、結花さん。指が冷たくて「うおわっ」とか言っちゃったじゃん!?
「もっとこっち見てよ」
ぼそっと結花が言う。顔、めちゃくちゃ近い……!
「え、あ、ごめん……」
俺はぼそぼそ返してしまう。
「なんちゃって、いつも見ててくれてるよね、ゆうくん!」
結花はいたずらそうに微笑む。
で、でた~! 攻め攻めモード結花!
久しぶり過ぎて耐性0なんだが。
「ゆうくんも川入ろ?」
「うん!」
結花に連れられて、清流に足を突っ込む。なんかほんの少し前に見た光景のような気がする。
そして当然のごとく水をかけあう。あれ、タオルで拭いた意味とは?
これも少し前に見ましたね。
俺もびしょびしょになってしまったんだけども。一旦川から上がる。
「川で勝負って言ったら、水切りだよねー?」
なんとなく結花に勝負を吹っ掛けてみる。負けフラグ立てちまったよ……。
「どうやってするの?」
結花がきょとんとした顔で言う。あ、たしかにしたことないかもね。これは勝ったかな。
「こうやって石を投げて、何回跳ねるか競うってルール」
実際にやって見せる。
「分かった、一回やってみてもいい?」
結花が投げた石は4、5回跳ねて沈んだ。さ、最初の割にはなかなかやりますねえ。
「じゃあ、やろっか!……負けた方が勝った方のお願いを1個聞くっていうのは?」
結花がそれを提案するんだね……?
「いいよ」
この戦い、負けられない……!
「俺の勝ち!」
「悔しい……」
流石にね。中学生の時とかも帰り道に友達とやってたりしたからね。負けないよ。ヨユウでしたよ(大嘘)
1回差でなんとか勝利した。
「んー、じゃあ俺からのお願いは……」
そこまで言いかけて止まってしまう。これは何をお願いするべきなのだろうか。
「これからもこんな感じで、2人で過ごそう?」
これがお願いと言うのかは微妙な気がしたけど。でも本心だしなあ……。
「もちろん! ……もっと、別のことお願いしても良かったのに」
「なっ……!?」
「また今度勝負するときは……ね?」
めちゃくちゃ含みのある言い方だ。
お願いかあ。考えておこう。
「わあ、もう時間だね」
「あ、ほんとだ」
「じゃ、行こっか」
気が付けばもうチェックアウトの時間だ。
でも、丸一日楽しめたと感じた。
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