夏と言えば山?
この国には古来より大きな勢力争いがある。
そう、「夏といえば山vs夏といえば海」だ。え、他にも解決すべき勢力争いはある? そちらはまた今度で。
犬派VS猫派、某お菓子の里VS山並みの紛争。
でも俺は解決策を知ってる。
……解決策はなにかって? 両方楽しめばいい。
山と海どっちも楽しんで損なことはないし、某お菓子の里と山は両方味わえばいい、どっちも美味しいし。全部解決しちゃったね、平和が訪れた。
あ、猫は譲らんぞ。
というわけでこないだ海に行ったばかりだけど、今日は山に来ている。夏休み前半から飛ばしすぎですね。
目的地の最寄駅を目指し、2人で電車に乗り込む。
移動中ずっと何もせずにただ運ばれるだけで、ずっと話していられる電車旅、最高。
1時間もすると、目的地に近付いているのを窓の外の景色から感じる。
「ここ、駅なのに人いないね」
「ほんとだ」
結花が不思議そうに駅員さんがいないか探してる。東京にも無人駅ってあるんだ、俺の地元にはいっぱいあったけど。
最近流行りのグランピングをしに行こうと、奥多摩までやって来た。あ、グランピングってスカイツリー下のソラマチでもできるらしいですね! 都会ってすげー。
キャンプ用具色々揃ってるから準備いらずでキャンプできる。
テラスにいると、川のせせらぎが聞こえてくる。
川の水は、上流域ということもあり澄んでいる。
「まずバーベキューからしますか!」
「うん!」
俺たちはジビエが入っているらしいセットを頼んだ。鹿肉か……ちょっと味気になるな。
「私がどんどん焼くから、たくさん食べて?」
「あ、うん」
結花は手際よくグリルに肉を並べていく。
……あれ? 電車の中でバーベキューあんまり行ったことないって言ってませんでした?
日頃の調理の賜物ってことかな。
「うん、美味しい」
めちゃくちゃ柔らかい。そういう部位なのだろうか。
いくらでも食べれそう。
「結花も食べてみる?」
「うん!」
肉を見ておく当番を交代する。
「美味しいね、今度買ってみようかな」
「え、売ってるの?」
「うん、あるところにはあるよ」
当然のことのように結花は言う。
「そうなんだ」
また勉強になった……!
あとはデザートを残すのみってところで、俺はコーヒーを淹れようと思い立つ。
「コーヒー淹れようか?」
「あ、もらっていい?」
なぜかコーヒーは淹れれるんだよね、俺。家事全般あんまりできないのに。だいぶ改善はされたけど。
天然水コーヒー、美味しそうだな。
そう思いながら、コーヒーを淹れる。
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
俺は当たり前のように自分のカップに砂糖を大量に追加する。コーヒーを淹れられるくせに、甘々じゃないと飲めないのは変ではあるけど。
「そんなに入れて大丈夫なの?」
「逆に何も入れない方が厳しい……」
まだ舌にちょっと苦味を感じて、砂糖を追加しながら言う。
カップを上品に持ち、ゆっくりと何も追加されてないコーヒーを飲んでる結花がずいぶん大人びて見えた。
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