表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/200

来訪と羨望

 俺は基本的に毎週末、家事を一ノ瀬さんに頼んでいるのだが……


(今日は頼みづらいよ……。)


 そりゃそうだ。昨日の事件は気まずくならないはずがない。

 今後の関係が心配でいつもより眠れなかったし。

 いつも7時間以上寝る健康優良児が4時間半しか寝ていない。

 非常事態宣言レベルだ。

(どーしよ。。。)



「今日は家事代行しなくていいんですか?」


 救済措置発動。

 通知がやってきた。


「やってほしいですお願いします」


 即返信する。


 放っておかれて、昼カップラーメンだったらマジで午後乗り切れないとこだったよ。。。



「……こんにちは」

「……今日もよろしく」


お互いの様子の探り合いみたいな感じになっている。

(はじめから若干気まずいし……。)


「とりあえずお昼作りますね?」

 俺はやることがない。

 何するかなー。。。



 ピンポーン。

「あれ、俺なんか宅配便頼んでたっけ?」

 玄関まで走って行って、ドアスコープを覗く。


「え……!」

「どうしましたか?」

「なんか俺の親来たんだけど……?」

「え、友達として、やっぱり挨拶したほうがいいですよね?」

「あんまり出たくないけどなあ、恥ずかしいし」


 仕方なくドアを開ける。

「久しぶりー、優希ー

 何でゴールデンウィーク帰って来なかったの?」

「テスト勉強してたから(本当はしてないけど)」

「そうなのー、

 学校はどう?」

「うん、楽しいよー

 友達も割と出来たしね」

「良かったじゃないー

 玄関でずっと喋るのもあれだから上がるね?」


 玄関より先へ侵攻されてしまった。


「すみません、ご挨拶遅れました、優希くんの友達の一ノ瀬です!」

 聖女としか例えようのない笑顔で挨拶する。

「あら、こんにちは!」

 なんか親がめっちゃ俺の方見てくる。

 一回玄関の方に戻るらしい。


「彼女できたの?」

 小声で聞いてくる。

「違うよ、ふつーに同じクラスの友達だからね?

 本当余計なこと言わなくていいからね!?」

 しっかり念を押しておく。

自分で言っておきながら、同じクラスの友達(女子)がお昼作ってくれるってどういう状況?とは思った。


 いや、なんでこのタイミングでやって来るかなあ!?

 ちょうど料理作ってもらってる時だし……!


「てか父さんは?」

「優希の高校見に行ってるー」

「そうなん、(なんで今?)」


「出来ましたよー?」

「あ、ありがとう!!ごめん母さん、お昼食べるわ」

「うんー」


 今日のメニューは、ミネストローネとコールスローサラダ。

 やっぱり何でも作ってしまう。

 すげー。


「わざわざ優希のために作ってくれてありがとねー」

「いえいえ、いつも美味しいって褒めてくれるので

 私も作ってて楽しいです!」

「そうなんだー」

 なんか楽しそうに台所で話している。

「クラス一緒なの?」

「はい!席隣なんです!

 優希くんは毎日話しかけてくれる友達です!」

「優希も一ノ瀬さんと話せて喜んでると思うよ」

「だったら嬉しいです!」


 会話の内容はバッチリ聞こえてます!

 ちょっと恥ずかしいけど、友達公認頂けたのでOKです。




「じゃあ、そろそろ帰るわね」

「うんー、ごめん、俺ちょっと外まで送ってくるわ」

 そう一ノ瀬さんに言う。

「仲いいんですね、」

「そうなのかなあ……

 じゃあ行ってくるねー」




「……羨ましいな」

 その一言はドアを閉める音にかき消されて聞こえなかった。







いつも読んでくださりありがとうございます!


ブックマーク、評価が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ