結花と伊豆へ
土曜の昼下がり、俺たちは新宿駅に来ていた。
乗り場で目的の電車を見つける。
「楽しみだね」
「うん!」
俺の方を振り向いて、結花は無邪気な笑顔を見せる。涼しげなミントグリーンのスカートが揺れて、俺の心も揺さぶられた。
俺は結花に続いて、踊り子号に乗り込む。
踊り子号とか初めて乗るな、なんかわりと最近運行開始したサフィール踊り子ってのに乗るらしいです。
東京から2時間半ぐらいで着くみたいだ。俺の実家までとあんまり変わらないじゃないですか!
俺たちは高級ホテルみたいな個室に入る。
「え、俺ら2人でここ乗っていいの?」
「うん、グリーン個室予約したから」
個室の電車とか初めて見た……!
俺、通学時の満員電車か実家近くのローカル線しか見たことないな。あれはローカル線というか観光鉄道か。
1時間半ぐらいいろいろ話してたら、伊豆の海が車窓から見えるようになってきた。
「綺麗……!」
2人で窓に貼り付くようにして外を眺める。
「写真撮る?」
「そうしよー!」
俺たちは伊豆の海をバックにして、ツーショットを撮ろうと試みる。
ちょうど撮影ボタンを押そうとした瞬間、トンネルに入って海が見えなくなる。
「「あー」」
俺たちはふたりして肩を落とす。 しばらくすると、窓から少しずつ光が射してくる。
「次こそは……!」
ここでも負けず嫌い(?)を発揮してくる結花。くすっと笑ってしまった。
「どうしたの?」
「いや、あ、チャンスだよ!」
トンネルを抜けた瞬間、ボタンを押してツーショットを撮る。
「いい感じに撮れたね」
「うん!」
こんな感じで何回も写真を撮った。
終点の下田に着いて、バスに乗り換える。
結花によると3,40分ぐらいかかるらしい。
下田ってことはペリー来航の地だな、とか考えながら目的地への地図を眺めてバスを待つ。
「あそこに見えるのがコテージだよ」
「え、あれが?」
バスを降りてすぐ見える、そこまで高くない崖の上に立っている白い建物がそうみたいだ。まるでリゾート地の
「ホテルみたいだね」
「私も初めて行ったときはびっくりしたなあ」
荷物を抱えて、コテージの所まで歩いて登る。
「あ、荷物持とうか?」
「でも、ゆうくんの荷物重そうだから」
「いや、筋トレになるから」
「あはは、ゆうくんは優しいね。じゃあ、お願いします」
結花の前なら何kgでも持てる自信がある。ダンベルも頼まれたら何kgでも持っちゃうよ! やべえ、ボディビルダーになっちまう。
「着いたー!」
眼下に広がる海を眺めて、つい叫びたくなった。
結花は俺の方を微笑ましそうに見てる。
「じゃあ、これからどうする?」
「うーん、もう夕方だから明日海入ろう?」
「たしかにそうだね。 あ、お腹空いたでしょ、ゆうくん?」
「うん!」
「海見ながら夜ご飯食べて、それから花火しに行かない?」
「おー、そうしよ!」
俺もリュックに大量の花火を詰め込んできたからね!割合としては線香花火が多めになっております。
線香花火って一番夏って感じがして趣あるよね。
※あくまで個人の感想です、打ち上げ花火もいいと思うけれど。
ってなわけで、まずは結花の料理を手伝うことにした。
いつも読んでくださりありがとうございます!
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