結花の誕生日
朝起きて、今日が5月1日であることをバッチリ確認する。
結局昨日は家に帰った後、まだ意外と時間があることに気付いてドンキまで行った。
当初の予定通りクラッカーを買い、たまたま目に入ったバースデーハットもカゴに入れてしまった。
ドンキってパーティーグッズとか買うのには最高だな。あと翔琉が好きなアニメの一番くじがあった。報告しとこ。
「おはよー、どうぞー」
「おはよう、ゆうくん!」
朝、俺の家までやって来た結花を家の中に迎え入れる。
「これかぶってー」
「う、うん」
ノリ(?)でバースデーハットを渡す。少し戸惑いつつかぶってくれるのありがたい。普通に似合ってる。あとで写真撮らせてもらおう。
「それじゃ……誕生日おめでとう、結花!」
そしてパン、パンとクラッカーを鳴らす。クラッカーとか小学生のときぶりぐらいに使ったな。
「わあ、ありがと!」
「あ、もちろん誕生日プレゼントもあるよ」
もう既に嬉しそうな表情をしている結花に、綺麗にラッピングされた包みを手渡す。
「開けていい?」
「もちろんー」
ワクワクした瞳に見つめられて断る男はいるだろうか(以下略)そもそも断るはずないが。
「お揃いのマグカップ?」
「あ、それ1つは俺が使おうと思って」
2つ入ってるマグカップを見て結花が言う。なんで俺は自分の分まで入れてもらってんの?
「ゆうくんのとペアなんだ」
「そうそう!」
「わあ、大事にするね!」
結花はさっそくあとで使おーって言いながら箱に入れる。マグカップも喜んでると思います。俺も喜んでます。
「あ、あともう1個あるんだー」
「え、他にもあるんだ!嬉しいな」
その言葉を聞くと渋谷まで行った甲斐があったと思った。
可愛い猫のキーホルダーを小さな袋から取り出す。あ、取り出すで思い出したけど、数学の問題は玉取り出し過ぎだと思う。
「わ、可愛いね」
「うん」
「あ、でも、実は……私の家、カードキーなんだ」
結花は少し言い出しにくそうに言う。
「おぅ……」
くっ……恐るべし、タワマン。カードキー使ってるの大企業だけじゃないんだ。カードキーかあ、なんかかっこいいな。
「あ、待って! それなら……鍵ももらっていい?」
「へ?」
俺が都会のお金持ちのレベルの高さに愕然としているとき、驚きの発言が結花から飛び出した。
でも俺が持ってる鍵は俺の家の鍵しかない。自転車ないのはマジ不便。
「えっと、ゆうくんの家の鍵」
「あっ……」
「私が家事するのにも役に立つかなって、あ、やっぱなしでも、」
「いや、そういうことなら今度合鍵作ってくるよ」
「え、いいの?」
「もちろん!」
これは半同棲ということになる、のか?
結花が大事そうにキーホルダーを握ってるのを見ると、少し恥ずかしくもある。
「じゃあ、ケーキ買いに行こう?」
「うん!」
結花が見せる子供みたいな表情は、あどけなさがいっぱいで愛しく感じた。
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