誕プレ選び②
とりあえず俺の中での誕プレの候補はマグカップとか、ポーチとかだ。決めきれないな……。
「まず服から見ていかない?」
「あ、そうですね!」
気付いたら姫宮と橘さんの2人で話進めてる。仲良くなったんなら良かった。ずっと険悪なムードだと、なんだか息しづらいから。
でも、俺を置いてけぼりにするのはやめて頂いてもよろしい? 悲しいから。
「結花のどんな服が見たいかな、いや、どんな服が似合うかなー」
「わざわざ言い直さなくていいから……」
まあ見たい服=似合う服だと思うよ、俺は。
これから暑くなるわけだし、夏に着られる服がいいよね。
何がいいだろうか。
2人はハンガーにかかっている服をチェックしていく。
「先輩、ちょっと見てくれませんか?」
「おう」
そう言って姫宮は試着室に消えていく。
「……どう、ですか?」
「おー、うん、まあ似合ってるんじゃない?」
「あ、ありがとうございます」
まあ姫宮に似合うかじゃなくて結花が着てどうかなんだけどね。
上目遣いで聞かれて、つい答えてしまった(棒読みで)。橘さんに睨まれるまでがハッピーセット。
分かってるから、俺も! もし結花だったら俺が知っている全ての褒め言葉で褒めちぎります。……それはそれで橘さんに睨まれそう。
「んー、じゃあこっち着てもらってもいい?」
「あ、分かりましたー」
しぶしぶって感じで姫宮が反応する。なにこれ、橘さんじゃなくて俺が頼めってこと?
「着ましたよー」
「あー、これにしようかな。ありがとね」
橘さんはもちろん結花のサイズに合うものを買ってた。まあ身長は全然違うし、なにがとは言わないが結花の方が大きいからな。
そして次は雑貨店に向かう。
「お、これいいなー」
俺は2つでワンセットのマグカップを見つける。可愛い猫の絵柄が描かれているの。
「あ、これもいいな」
可愛い猫のキーホルダー。
もう1年前ぐらいになるだろうけど、ゲーセン行ってクレーンゲームで猫の財布取ったりしたような。懐かしい。
その時の反応の感じ、結花は猫派のはず。
普段特に趣味の買い物とかしてるわけでもないので、財布には余裕がある。 これは両方買いだな。
「先輩、猫好きなんですねー、意外です」
俺が買ったものを覗いて、姫宮が言う。
意外って言葉はどういうニュアンスなんでしょうか。
まあ俺も猫好きだけど、今回の買い物は自分用ではないぞ?
ってことで俺たちはそれぞれプレゼントを手に、渋谷を後にした。
若干1名は自分の買い物の荷物だけど。何を買ったかは知らない。たぶん服。
誕生日は明日、5月1日だ。
橘さんには悪いけど、俺ん家で祝わせて頂きます!
帰りに100均寄ってクラッカーとかも買うか。
「じゃあ俺ここで降りるわー、今日はありがとう」
「別に……」
「いつでも呼んで下さいね? 誘ってもらえるの待ってます!」
電車のドアが閉まって、橘さんに何か言われてる姫宮の姿が一瞬だけ見えた気がした。橘さんの前で余計なこと言わない方がいいぞ……。
俺は結花へのプレゼントが入った袋を抱えて歩き始めた。
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