命の危険?
日曜日。
なぜか結花には2日連続で用事があるからと言われてしまい、橘さんに呼び出された。
どういうことだ?
必死に考えたけれど、何の話をされるか分からない。
最近某後輩のせいと結花の用事のダブルパンチであんまり話せてないから、週末楽しみにしてたんだけどな。
学校の行き帰りぐらいしか一緒に過ごしてないよ。。結花成分の欠乏を感じる。
「……とりあえず集合場所行くか」
指定された場所にたどり着くと、いつもの数倍ほど冷気を放っている橘さんがいた。……ひっ。
「え、どうしたの?」
「ちょっと話があるんだけど」
いつもより声のトーンが低い。体に突き刺さるような声だ。
「あ、うん。ナンデショウカ?」
命の危険を感じた。
人があまり通らない、薄暗い公園の木の下のベンチに座らされる。
……昼間なのになんでこんなに暗いの、極夜じゃないよね?
「私は前、結花を困らせたら殺すって言っておいたよね?」
「あ、はい」
「もっとはっきり答えて」
「はい」
「じゃあこれはなに?」
目の前にスマホの画面が突き付けられる。橘さんと結花のトーク画面だ。
内容は俺がここ最近、後輩と一緒に過ごしてるところを見てモヤモヤする、といったもの。
たぶん、これを見せられたときの俺は青ざめていた。さっきの尋問のときからか。
「待ってくれ、話せばわかる」
「とりあえず聞くから、ちゃんと私が納得できることを喋ってね?」
「……これはあいつが勝手に近づいてきただけだ」
「ほんとに?」
「ああ、ほんとだ」
橘さんは試すような表情で俺に聞いてくる。これは間違ってないから断言できる。
しかも、あいつは実際には彼女いないと思ってる気もするし、ぐいぐいくるだけじゃなくてなんか妙な話してくるんだよな、昔助けてもらったとか。
「そう。でももっと強く断ればいい話じゃない?」
「そう、だな」
「どーせ、相手の心に傷を負わせたくないとか考えてるんでしょ。今みたいに中途半端な態度されて、相手に行けるかもって思わせた方がダメージ大きいと思うんだけど」
確かにそうだ。
俺の中途半端な態度が、結花を困らせてる。大事なのはなにか、優先するべきはなにかは俺自身分かってるはずなのに。
「ごめん、自分でどうにかするから」
「自分でどうにかできてないからこうなって……!
あ……強く言い過ぎたかも。でも、私の大切な結花を傷つけないで。それだけ分かったら、いいから」
結花のことを大事に思ってるからこその、心からの言葉だと思う。
……俺は、結局誰のためにもならない、中途半端な優しさでしか行動できてないな。
そんなに自分に呆れて短いため息をつく。
「俺、ちゃんと結花と話をして、それからその後輩にも説明するから」
「分かったわ」
明日、この問題に決着をつけようと固く決めた。
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