後輩ちゃん登場
なんか最近俺の周りが騒がしい気がする。新学年になってから。
いつから俺陽キャの仲間入りしたっけ? いや、間違いなく仲間入りなどしていない。
現に今だって1人でお昼食べてるし。
「おいおい、あの一条ってやつ、一ノ瀬さんと付き合ってる癖にあの可愛い後輩とも仲良いのかよ」
「1年の時から噂は聞いてたが……さっさと爆発したらいいのに」
めちゃくちゃ不穏。これで1年間このクラスで過ごせと? 寝言は寝てから言ってくれ。
てか俺の名前のあとに『可愛い後輩』とかいうワードが聞こえたような。まあ知らね。
たまたま結花の用事(橘さんに連れ去られた)が重なって、俺はぼっち昼休みを過ごしてるわけなので、暇潰しに隣のクラスの翔琉のとこまで行こうかな。
立ち上がって教室のドアを開けた瞬間。
「一条先輩、何度も呼んだんですよ?」
1人の少女が目の前に立っていた。
語尾にぷんぷん!ってついてそうな感じ。誰このアイドル的少女。まあ、結花の方がアイドルやってそうだけど。……結花はアイドルじゃなくて女優か?
ふわっとした茶髪でミディアムロング。目はくりくりしてて大きい。ちょっと橘さんに似てんな、小動物的な感じが。あんなにとげとげしてないとは思うけど。
こんな女子、俺の知り合いにいましたっけ?
「ああ、すまん……で、どちら様?」
圧倒的デリカシーの欠如。1年経っても改善されていないようで。まあ誰か知らなかったらそう聞くしかないよね!
……どこかで見たことある気がしないでもないが。
「聞き方が悪いですね、それじゃモテませんよ?」
「いや、これ以上モテなくていいから」
「あいつ殺すか」 「うん、それがいいな」ってのは空耳だよね!?シンジテル。
俺、このクラスで1年過ごせる自信がゼロになりかけてるよ。
「え、先輩、もしかして彼女とかいるんですか?」
その後輩は小首を傾げて聞いてくる。いちいち仕草があざといなあ。
「ああ。自慢の彼女がいるけどどうした?」
俺は声の調子を変えずに言う。ちょっとデレ過ぎたか。また背後からの殺気を感じたんだが。
「いや、なんでもないです!……そっかー、やっぱりモテてたかー」
「ん、なんか言ったか?」
「いえ、なんでもないです!」
「……で、どちら様?」
俺は出会ったときからの疑問をもう一度ぶつけてみる。
「今、実は先輩彼女いない説が有力になりましたよ? まあいいです、私は1年の姫宮萌音です」
「そうか、よろしくなー」
イマジナリー彼女説、若干傷ついたからな!?
「雑ですねー、もっと女の子は大事にしないと!彼女さんにも嫌われちゃいますよ?」
「分かった、気を付ける」
相変わらず俺は棒読みで答える。
「じゃ、これからよろしくお願いしますね?
なんて呼んでもらっても構いませんよー、下の名前でも」
上目遣いでこっちを見ながらそう言う。制服の袖引っ張るなし。
しばらくすると、姫宮は手を大きく振りながら帰って行った。残されたのは俺とその周りのリア充許すまじという空気。耐えられない。
まあとにかく、このウザ可愛系(?)後輩女子には気をつけようと思った。結花と一緒にいるときは襲ってこないでくれ……と願った。
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