お花畑デート②
とりあえず次に向かうところを決めるために園内マップを2人で眺める。流石に国営公園なだけあって広い。
あ、東京ドーム○個分って例えは東京都民からしてもわかりにくいと思います! 代わりの例えは思いつかないけど。
「遊園地とかあるんだねー」
「ほんとだ」
公園は色々なエリアに分かれていて、BMXのコースとかもあったりするらしい。
話し合いの結果、レストラン→アトラクション→野原ということになった。
レストランで軽く昼食を取ったあと、アトラクションのところまで歩いていく。
「ジェットコースターとか乗ってみる?」
「え、ちょっと怖いかも……」
ジェットコースターを見て、珍しく結花が少しびびってる。
前観覧車乗ったときは普通だったのにな、スピード出たら怖いのかな。
……これは!
格好いいところを見せるチャンスなのでは?
立場が逆なら「私がいるから大丈夫だよ、ゆうくん?」って言ってたと思うな。それはそれで栄養が補充できそう。
「まあ、ゆうくんがいるなら安心だね」
そう言って結花は笑ってみせる。
ジェットコースターに乗る前から俺の心は結花の言葉でジェットコースターみたいに激しく動いてるんだが。
「……やっぱりちょっと怖いかも」
ジェットコースターの座席に座った結花がぼそっと呟く。たしかに、高さは意外とある。
「え、大丈夫?」
「うん」
俺は珍しく怖がっている結花を見て、緊張を取ろうとその手に触れる。結花は、ぎゅっと俺の手を握ってきた。
ここで怖がってたらUSJは行けないぞ?
ゆっくりとジェットコースターは動き始める。
最高点に到達してからはかなりのスピードで流れるように走っていく。
隣をちらっと見ると、いつもより少しだけ表情が固いような結花の姿が目に入った。
綺麗な黒髪が強い風に吹かれている。つい前の景色よりもそちらに気を取られてしまった。
乗ってた間は2分ぐらいだったけど、いつもの2分より長く感じられた。
「芝生のとこ、行こ?」
結花は流石にジェットコースターで疲れたのか、朝みたいにダッシュはしない。
到着すると2人とも芝生に寝転がる。
「気持ちいいね」
「うん!」
手入れが行き届いている芝生はふかふかだ。
そよ風が優しく顔を撫でる。
どこまでも雲ひとつない青空が続いているように感じられる。
なんとなく手をつなぎたくなって、結花の方に手を伸ばす。結花も同じように思っていたのか、お互いからの距離のちょうど中間地点あたりで柔らかな手と出会う。
「ずっとこうしてたい」
「うん」
結花は顔をこっちに向けて、可憐な、美しい花のような笑顔を見せる。
ずっとごろごろしていたいところだったけれど、閉園の時間が近づいていることを知らせる園内アナウンスが聞こえてきた。
17時閉園らしい。そろそろ公園を出ないとな。
「また来ようね」
「うん、そうだね」
年間パスポートを買うべきだっただろうか。まあ、いいか。
「結花と一緒なら、どこでも楽しいね」
帰り道、気づいたら本心からの言葉が漏れていた。
「私もだよ」
言わなくてもお互いわかっていることだけど、言葉で確かめ合うことのときが一番心があたたまる。人間関係の基本は同意ですから。
「夕日、綺麗だね」
夕日が俺たちの帰り道を鮮やかなオレンジ色に染めていた。
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