サンタ結花からのプレゼント
「夜ご飯も一杯作ったから、食べてほしいな?」
「もちろん」
クリスマスも普段通り家で遊んでいると、窓の外はすっかり暗くなっていた。
机の上にはクリスマスの定番のような料理たち。色々なメニューが並んでいる。
これ、俺のために時間かけて作ってくれたの? かなり嬉しい。
どうやら、前の日に作っておいてくれたみたいだ。
「いただきます!」
「食べられる分、全部食べていいよ?」
もちろん、言われずとも。
この世に可愛い可愛い彼女の手料理を残す男はいるか、いや、いない。
それに、メニューは多いけれど、1つ1つはちょうどいい量だ。
クリスマスと言えば○○、ってのに挙げられそうな料理ランキング上位の骨付きチキンから頂く。
「……美味しい。めっちゃジューシー」
「うん、頑張ったからね」
結花はそう言って少しどやーっとした表情をする。
味付けの染み込み具合から、俺のために頑張って作ってくれたのを感じる。
「ありがとう」
「えっ!?」
気がついたら結花の頭を撫でてた。さらさらした髪の手触りが気持ち良い。
「あ、ごめん、手が勝手に」
「……」
結花は耳まで真っ赤にして、頭の上の俺の手を見上げる。俺は、ぱっと手を離す。
あら。終わった?
「嬉しいからだいじょぶだけど……。でも、不意打ちは反則……!」
良かった……!
あと最後の「不意打ちは反則……!」可愛すぎます。
結花のプク顔は今後も継続的に眺める必要があるな。
そんなことを考えていると、結花がなにかをしてもらいたい、という感じで俺の方を見つめていたのに気付いた。
「続けても、いいよ?」
「あ、ほんとに? ……なら、続けさせていただきます」
そう言うと、結花は満足そうな表情をしてくれた。
お腹一杯になるまでご馳走を頂いた。 幸せ。
てかもう20時じゃないですか!?
初めての彼女と一緒に過ごすクリスマスが終わってしまうのが寂しい。
「帰る前にサンタからあと1つプレゼントがあります」
「ん、なになに?」
微笑んだまま、サンタ結花は俺に近づいてくる。
……なんか近くない?
別に俺は大丈夫なんだけど。
いや、この上ない喜びを感じるんだけど。
「!?」
唇に温かい感触を感じる。
「えへへ」
「え……?」
気づいたら目の前に満面の笑顔を見せる結花がいた。
正直何が起こったのか、よくわからなかった。
「プレゼントだよ、嬉しかった?」
そう言われると、結花の柔らかい唇の感触が鮮やかによみがえる。
ん、人生初彼女とのキスだったぁぁぁ!?
「やっと恋人らしいことできたかな?」
そう結花が呟く。
「え?ずっと恋人らしいことしてきたと思うけど……?」
結花の恋人概念がどうなってるのか気になる。
「一緒に過ごしてるだけで恋人らしいと俺は思う」
「……そっか」
「だから、これからもずっと今まで通り恋人らしく過ごそう」
自分が言ってることが物凄く恥ずかしいのは知ってる。俺も顔を背けたくなる。
「……ずるい」
またしても俺から不意打ちを食らった結花は、耳まで赤くなっている。
「……ゆうくんは格好いいね」
「え、そう? ありがと」
なんと返したら良いか分からず、いつもみたいにお礼を言う。
そして2人で顔を見合わせて笑いあった。
この2人で笑い合う時間がこの世の何よりも愛おしく感じる。
「やっぱり今日は帰りたくなくなっちゃった」
いたずらそうに笑って結花が言う。
朗報
クリスマスはまだまだ終わらないらしい……!
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