クリスマスはケーキ作り
◆◇◆◇◆
私はゆうくんの部屋に入ると、じたばたしたくなるのをぐっとこらえた。
持ってきていたバッグの中には、ゆうくんに渡されたのと同じ衣装が入っている。
(これ着たら、男の子は喜ぶってネットに書いてあったのに……自分から言えなかったな)
ネットのソースが謎すぎる情報を元に頑張ってみようとしたのだけど……
(そういう(?)ムードになって恋人らしいことまで出来ると思ったのに……!)
あと、もともと自分から着るはずだったのに、中途半端に恥ずかしがったのも負けた気がする。ゆうくんのドキドキした表情を見たいのに。
(何か作戦考えなきゃ……!)
結花は決意して、着替え始めた。
◆◇◆◇◆
「着替え終わったよー」
サンタコス結花がゆっくりとドアから顔を覗かせる。
なっ……!
これは……想像以上に良い。
高校生にはめったにいないような、抜群に良いスタイルが強調されている。肩出しサンタコスの考案者にお礼を言いたい。
こんなに魅力的なサンタがいていいのだろうか?
「どう、かな?」
結花ははにかみながら聞いてくる。
「……魅力的すぎる。天使みたい……俺にとっては結花はいつも天使なんだけど」
ついついめちゃくちゃ真顔で評論家みたいに言ってしまう。
しかも最後の一言!?
「そう言ってくれて嬉しい」
結花は俺の謎コメントにもわりと普通に喜んでくれた。
「じゃあ、ケーキ作ろっか」
ケーキ生地は結花が家で焼いてきてくれたみたいだ。膨らんでいて、ふわふわな食感がしそうだ。
あとはホイップクリーム作ってフルーツを載っけるだけだ。
しかし……
ホイップクリームの作り方、分からない……。
いつもコンビニかケーキ屋でケーキ頼んでたから……作ったことある人ってそんなにいないですよね?
「ごめん、やり方教えて?」
「いいよー」
結花が持ってきてくれた機械で混ぜたらいいんだろうけど、、
これ使い方間違えたらホイップが辺りに飛んでしまって危険な光景になることが容易に想像できる。
「こんな感じでやったらいいよ?」
「あ、おっけ」
やば、あんまり頭に入ってきてない。
それもそうだ。
結花の胸で存在を主張してるものが俺の腕に当たってるからな……。気づいてないんか。
柔らか……いや、なんでもない。
ご褒美……いや、やっぱ忘れてくれ。
けっこう時間かかるな。機械はほぼ持っておくだけなのに、ちょっと疲れてきたかも。
ま、さっきよりかはホイップクリームらしくなってきたかな。
「こんなもん?」
「んー、もう少しかな」
ホイップになりかけのクリームをペロッと結花がなめる。
オーバーキルなんだが。
体力は全回復した!……オーバーキルなのに回復?
まあいいや。
あとの飾り付けは結花がやるらしい。俺はそれを眺める。
ケーキ屋に普通に売ってありそうな感じにホイップとフルーツを盛っていく。
美味しそう。
「できたよー」
可愛いサンタがキッチンからケーキを運んでくる。
切り分けるのもサンタがやってくれるらしい。
「どうぞ」
「ありがと!」
「じゃあ、食べよっか」
もちろん写真は撮った。
「「いただきます!」」
結花はケーキをめちゃくちゃ美味しそうに食べる。前テレビで見たモデルとかより綺麗に食べてる。
この上ない笑顔って感じ。
「写真撮ってもいい?」
「はむ……うん」
インスタ女子ばりに写真撮ってる気がする。
まあ結花が可愛いので仕方ないですね。
今までで1番記憶に残るクリスマスになると思った。
……まだまだクリスマスは終わらないんだけど。
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