冬休み突入
あっという間に12月が来て、肌寒い日ばかりが続くようになった。
そして、今日は終業式。
「2学期終わるの、早かったな」
「そうだな」
たしかに、文化祭とかクラスマッチとかやってたらいつの間にか2学期終わってたな。意外とバタバタしたから、冬休みは家でゆっくりと結花と一緒に過ごしたい。
「あ、優希は成績どうだった?」
「まあまあかな。 中間は学年2位だったけど、期末は1位だったし」
実力テストは勝ったので今学期の戦績は2勝1敗ってことか。
「まあまあってレベルじゃないんだが!?」
「ありがとー」
「褒めたつもりではないけど。若干恐ろしいまである」
「ま、成績のことは置いといて……午後遊び行かねー?」
「名案っすね。ちょうど成績のことは忘れたかったとこだったんで」
翔琉は俺に親指を立てて見せた。たぶん成績悪かったんだろうな。
「では今から2学期お疲れ様カラオケ会をやっていきましょー!」
「おー!」
テンション高めな男子4人組でカラオケの部屋が窮屈になってる。
「クリスマスも目前ですが、約1名を除いて僕らには彼女がいませんー! ……辛いです」
なんか悲痛な嘆きも聞こえたよ?
「まあ、来年はきっと俺たちにもいるはずってことで」
「……そうだね。ま、歌おうか」
歌い出したらさっきまでの彼女いない、辛いって感じはどこへやら、ノリノリで皆歌ってた。
「今日はあんまり歌えなかったなあ」
「3時間で追い出されたからなー」
「暇だし、どっか行くか?」
「そうしよー」
結局、俺たちはカラオケを出てからすぐ近くにあるドンキに行くことにした。
「クリスマス、何するんだ? 一ノ瀬さんと」
「うーん、一緒にケーキ作ろっかって話にはなったかな」
クリスマスケーキ、作ったことないな。クリスマスケーキはコンビニで予約するものだと思ってました。
「材料とか買っておかなくていいのか?」
「あー、結花がケーキの材料は持ってきてくれるって」
俺がケーキ作りに必要な材料があんまり分からないからだけど。
「えー、せっかく来たんだからなんか買えよー」
まあ、パーティーグッズとか漁ってみるのもありだな。
「……これは?」
提案されたのはサンタの衣装なんだけど……
モデルの女性が着てみたときの写真を見ると、少しギリギリを攻めすぎている気がする。胸元が開き過ぎているような。
これを着た結花がサンタなら、サンタの追跡サイトも今以上に盛り上がることだろう。
「俺が着る分には構わんが」
そう言って男子用の衣装を手に取る。
「「「いや、優希が着ても面白くないだろ!?」」」
3人に切れの良いツッコミを入れられる。これ、面白くないのか……。ちょっとだけ凹む。
「えー、まあとりあえずこれは買うわ」
クリスマス気分も高まりそうだし、お家クリスマスデートには最適だろう。
「買うんかい」
「あれは俺がお金出すから、いいよな?」
翔琉が女子用の衣装をなぜか買って、俺にくれるらしい。俺は女子用は着ないけど。
「ぜひ感想を聞きたいから」
いや、キメ顔で言わないでもらえます? 俺の親友はどうやら残念なイケメンのようだ。
というか、感想と言っても可愛いしか出てこないよ。結花の可愛さに俺の語彙力が対応しきれていない。
「え、着てくれないかもだろ」
ちょっと攻めすぎだからなあ。
「いや、優希が頼めばいける」
「その交渉は、首脳会談よりも難易度高いと思うんだけど……?」
「まあまあ、やってみなくちゃ分からないだろ?」
そのセリフは今聞きたくなかったかな。やってみないと分からないのはほんとだけどさ。
まあ、結花のサンタコス姿を見てみたくないと言ったら嘘なんだけど。
「ゆうくんがどうしてもって言うなら……」
って言って着てくれたらたぶん出血多量になります。いや、たぶんじゃなくて間違いなく。嫌そうなら無理に着てもらうつもりはないが。
「もうちょっと大丈夫そうなのはないの?」
流石に目のやり場に困りそうなので、もう少し露出度の低い衣装はないものか、と思って売り場を探す。
「ああ、もうあとは売り切れだ」
「なぜ……?」
俺は覚悟を決めてクラッカーとかを買い物かごに詰めて、翔琉と一緒にレジへと向かった。
「俺がその衣装も買うよ」
「いや、別に俺もお金には多少余裕あるから」
「まあ、結花へのクリスマスプレゼントが1つ増えるってことかなと思って。なら俺が買った方が」
「そうだな」
クリスマスがやってくるのが今から待ち遠しいな、と思った。
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