文化祭1日目午後
「結花ー、あれ食べない?」
「いいねー、ゆうくんも食べよ?」
「おっけー」
唐揚げの売店に並ぶ。
「ゆうくんって呼ばれてるの、羨ましいなー」
橘さんは俺のことをぐさぐさとつつきながら言う。さっきから痛いんだけど!? 表情も笑顔だけど、目が笑っていない。
「花奈のことはこれ以上短く呼べないよねー?」
「そうだけどさー」
結花は目を細めてにこにこ笑いながら橘さんと話している。
結花と女子の絡みって新鮮でいいな。尊し。
これで俺とも仲良い女子だったら会話入れるんだけどね。でも眺めてるだけでも幸せだわ。
公園で子供が遊んでるの微笑ましそうに眺めてる親の気持ち、なんか分かります!
……ちょっと違うか。
「熱々ですから気を付けて下さいねー?」
「「「ありがとうございます!」」」
出店の店員をやってる先輩から出来立ての唐揚げを受けとる。1年生は出店の担当がないんだよな。部活入ってる人は別だけど。
来年、結花と一緒にやれたらいいな。
結花が持つコップから、つまようじが刺さった唐揚げを1ついただく。
「いただきまーす」
……! あっつ!?
唐揚げを危うく落としかける。
「さっき熱々って言われたよね……? 聞いてた?」
心配してるのかわからない感じで橘さんに言われる。たぶん心配してない。というより煽ってる。
今は目が笑ってるの、本当になんなんだ。
「んー、じゃあ私が冷ましてあげようか?」
……なぬ?
結花のこれって考えて言ってるのか、無意識で言ってるのか全然ワカンナイ。
橘さんも顔真っ赤にして固まってるよ。あー、絶対この人の前で言っちゃダメなやつ。。
結花は固まってる2人は気にも留めず、ふー、ふーと唇を尖らせて甘い息を吹きかける。
「はい、いいよ?」
「あ、ありがとう」
ついキョドってしまう。
まあ当たり前だよね。
なんなら間接キスよりエロいまである。
……いや、邪心は捨てるんだ。
「どう?」
「いい感じの温かさです……!」
謎の敬語食リポをやらかす。
「なら良かった!あ、私が作った唐揚げ食べたことあったっけ?」
「うーん、そう言えば食べたことないかも……」
「じゃあ今度一緒に作ろうね?」
「ほんと!?」
いい感じの温度になった唐揚げを食べ終える。
まだ結花は自分の分がたくさんあるみたいだ。
シャツを強めに引っ張られて少し離れたとこに連れていかれる。
「さっきの、どういうことよ?イチャイチャも見せつけてくれて……!」
「いや、彼女の手作り料理はありがたく頂くものでしょ?」
「なんでそんなに羨ま状況なのよ……」
手作り料理食べたい、って言えば作ってくれると思うけど。
「ま、日頃からの徳ですかね」
「な訳ないでしょ!?」
そんなに強く否定しなくても……。調子に乗ってふざけて言っただけなのに少し傷ついた。
「まあとにかく、次のイチャイチャ優先権は私にあるんだからね!」
「ええっ……」
強引すぎです……。
俺たちは唐揚げを食べ終えた後、また美味しい物を探しに向かった。
しかし、校内で男子×1 女子×2はまずいみたいだ。しかも男子人気上位の2人だ。
「あいつ、今度は橘さんも連れていやがる」
「なんだと、あのロリ可愛花奈ちゃんを!?」
丸聞こえなんだけど。趣味バレそうだからそのへんにしとけよ。
ほら、橘さんが俺から3メートルぐらい距離取ったよ。
まあ別に気にしないというか、なんなら2人になれるチャンスじゃないか!?
とは思ったものの、絶妙な距離感をキープして結花から離れまいとしている。
「かき氷美味しそうだね!」
「おー、ほんとだ!」
たしかに暑いもんな。秋なのに。
3人とも別々の味のシロップをかけてもらう。
日陰行って食べよ。
「花奈ー、一口食べる?」
「じゃあもらっちゃうねー!」
「はい」
スプーンを橘さんの方に差し出す。んで橘さんはパッと笑顔になって一口頂いてる。
このやりとりは一部の男子を殺してしまう恐れがあるな。
「ゆうくんのの味はどう?」
「あ、美味しいよ?」
「私ももらっていい?」
ってことで俺のスプーンも結花に差し出す。橘さん-俺が繋がらなかったことでギリギリ三角形は成立しなかった。
別に成立しなくていいけど。そうなったとして満面の笑顔の橘さんに毒を盛られる光景が見えるような。軽くホラー。
「ん、美味しい!これも今度お家で一緒に食べたいな……!」
「うん、楽しみだね」
また天然か計算済みの発言かわからない結花の言葉で嬉しくなった。……隣から殺気は感じたけれど。
いつも読んでくださりありがとうございます!
明日まで投稿時間遅くなります、、。
すみません!
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