結花の友達
「嘘だろ……」
月曜朝。ただでさえ月曜は学校に行くのが嫌になるのに、無情の時間割変更があった。
月曜は基本的に7時間授業で、普段は最後がHRなのに、今日はなんと4時間目。
最後も通常授業じゃん!? 気持ち的にはかなり違うよ……? 朝三暮四、ってやつかもだけど。
3時間目までなんとかこなし、4時間目のHRがやってきた。
「じゃあお前たちで文化祭の係決めしろー」
先生、気楽すぎません?
どうやらクラスの実行委員は先に決まっていて、細かい係を今から決めるらしい。
「何する、ゆうくん?」
小声で結花が尋ねてくる。
「そうだねー……」
「あ、あれはどう?」
「いいねー!」
「じゃあ、希望取っていきます」
クラスの真面目そうな実行委員が多数決を取る。
俺たちの希望のとこは3人手が上がった。
もともと3人の枠だからぴったりだ。
もう1人は誰だろう。
「決まったところはメンバー同士集まってくださいー」
「よろしくー!」
「うん、こちらこそー、結花」
ん? 結花呼びする女子じゃん。
珍しいなー、皆だいたい一ノ瀬さんって呼んでるからなあ。
「ゆうくんと花奈と一緒に準備できるの楽しみだなー」
「私も楽しみー!」
結花はいつもの学校での様子よりテンションが高いのが分かる。
もう1人の女子も楽しそうだ。
名字は橘っていうもう1人の女子は、少し小柄で、ツインテールにした明るい茶髪が特徴的だ。
俺のクラスの男子には2番目に人気が高いって誰かが言ってた。2番目、って言い方はひどいな。
まあ確かに男受けする感じの顔してると思うけど。
そしてキャラは学校モード結花のほぼ逆らしい。天真爛漫、って言葉が似合う感じだ。
「よろしくー」
いちおう挨拶しておく。
「……よろしくね?」
少しだけテンションの低下を感じたのは俺だけだろうか?
なにかやらかしてたっけ。
「じゃあHR終わるぞー」
どっか消えてた先生が最後は帰ってきて号令をかける。たまには休憩も欲しいよね。俺もその立場ならそうするわ。
「じゃあお昼食べよー?」
待ちに待ったお弁当タイム。
「あ、今日私の友達呼んでるんだー」
「お、おっけ」
2人きりで食べられないことに少しガックリしかけたが、そんな素振りは見せない。
「まだ来てないねー」
「じゃあ先に食べとく?」
「そうだね」
弁当の蓋を開けようとしたとき、勢いよく鉄の扉が開く。
「結花ー……!?」
俺と目が合う。
さっき俺と友好関係になろうとする意思をあまり感じなかった橘さんなんだが。
なんで結花といるんだよって感じで睨まれる。
ほんとに俺、なんかやらかしたっけ?
結花と話すときはこの上ない笑顔なのにな。
気まぐれな猫みたいな感じがする。
「じゃあ一緒に食べよー」
「「うん」」
ハモってしまって睨まれる。たまたまだって……。
「あ、ごめん、少しお手洗い行ってくるね?」
「うん、行ってらっしゃいー!」
元気の良い橘さんの声が響く。
結花が屋上からいなくなって、俺ら2人が残される。
なんで今日は他のペアいないの? 気まずいんだが。
俺は橘さんに話しかけられないように、景色を見渡しながら「いやー、いい天気だな。景色も綺麗だし」とか言う。
ビルしか見えないんだけどね。
「……アンタ、結花のこと脅したの?」
「え?」
橘さんは挙動不審な俺の様子を気にすることなく聞いてくる。くっ……あの程度の防御じゃ足りないか。
「アンタと結花が付き合えるって普通だとあり得ないでしょ」
「別に脅してなんかない」
「ふーん」
橘さんは暇そうに髪の毛の先をくるくるといじる。
いや、聞いてきといてその反応!?
髪の毛を指に巻いたまま、しばらく橘さんの動きが止まる。
そしていきなり俺の目の前に人差し指を突きつけていう。
「まあ私はアンタを認めないし、もし結花を悲しませたらアンタを殺すから」
「ひぇっ」
変な声出た。
まあほぼ話したことない女子にいきなり殺害予告されたら誰だってこうなります。
なぜか好感度マイナスからのスタートらしい。
いや、マイナスどころではない。絶対零度ってとこかな。化学の勉強ができそうだ。
……そんな悠長なこと言ってる場合じゃないよ。
いつも読んでくださりありがとうございます!
明日は朝に上げれるように頑張ります!
最近遅くなってしまいすみません!
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