お出かけではなくお昼寝タイム
「どこ行こうか……」
「ゆうくんの行きたいとこでいいよ?」
「じゃあ調べるね、ちょっと待っててー」
「うん!」
早く行き先決めないとな……
マップアプリを起動して近くのショッピングセンターと打ち込んで検索をかける。
当たり前だけど、郊外のほうにしかない。
まあでもそこまで時間かからないし、ここにしようかな。
家から電車で20~30分ぐらいみたいだ。
中に入ってる店もチェックする。
まあまあ良さそうだ。
「ここ行こー……?」
スマホから顔を上げると、右肩に寄りかかってくるものを感じた。
「!?」
待たせすぎたか……。そんなに時間はかかってないと思うんだけれども。
しかし、申し訳ない。
結花はすやすやと気持ちよさそうに寝ている。
甘い寝息が俺の顔に触れる。
ちょっとむず痒い。
この光景、なんか前にも見たことあるような気がする。
こんなに気持ちよさそうに眠っているのに起こすのは可哀想だな……。それに、眠ってしまった原因は俺にあるわけだし。
もう少し待つとするか。
……めっちゃ無防備だは、と結花が息をして肩が揺れるのを服越しに感じながら思う。
付き合っているとはいえ、俺も男なんだよ、一応。
でも寝ている間に何かをするってことは俺の信念に反するので、とりあえず眺めるだけにしておく。
……今、俺の中で悪魔と天使がバチバチ火花散らしてるよ。
横からそっと結花の寝顔を覗き込む。
ほんのりピンクに染まった頬。口元も少し緩んでいる。
いつもはクールな感じもあるけど、寝ているときは完全に気を許している。
ぎゅっと抱き締めて守りたくなるような表情だ。
こう近くで見ると、ほんとに長い睫だなあ。ほっぺたも、つい触りたくなるほどに柔らかそう。
学校で皆から天使って言われるのもよくわかる。
そんな結花が隣で寝ていることを、肩にかかる柔らかな重みと温かさで再確認する。
「夢みたいだな……」
小声で本音を漏らす。
夢だとしたら、ほんとに幸せな夢だ。
夢から覚めてしまったとしても、二度寝、いや、三度寝してでも見ようとするような夢だ。
さらに結花が俺に寄りかかってきた。俺の肩が、ちょうどいい枕になっているみたいだ。
寝息が耳にかかる。
「!?」
むずむずして、ついビクッとしてしまう。
「……むー」
動いたことに抗議の声があがる。
抗議の声だけど、可愛すぎる。
「あ、ごめん」
寝ているので聞こえるはずがないんだけど、俺はついつい謝る。
結花の幸せそうな寝顔をずっと見てたら、俺も眠くなってきてしまった……
(もう今日のお出かけデートは諦めるか……)
まあ明日は日曜日だし、今日行けなくても明日がある。
俺も睡眠欲に負けてしまってゆっくりとまぶたを閉じた。
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