付き合ってから初めての家事代行
結花のお弁当のおかげで今週も頑張れた。
そして今日は待ちに待った土曜日……!!
付き合い出してから初めての家事代行の日だ。
いや、家事代行と言うべきではないかも知れない。
……おうちデートと言うべきだろうか。
そんなことを考えてたら、インターホンが鳴る。
「おはよー、ゆうくん!」
「おはよ、結花」
最近は流石に俺の家事能力も上がってきて、週末に掃除はしなくても大丈夫なレベルまで部屋が片付いている。
そういうわけで結花も今までの作業用スタイルをしなくても良くなった。
……あのスタイルも格好よくて良かったんだけどね。
「この服、どうかな?」
「……可愛い」
前に俺と買い物行ったときに買った黒のパーカーとベージュのプリーツスカート。
秋になって涼しくなったので、満を持して出撃ってわけだ。
やば。
こんなに可愛い結花が俺の彼女なんだ……!
俺は結花の姿に目を奪われてしまって語彙力を失う。
「えへへ」
俺の中学生レベルの褒め言葉でも、結花は満面の笑顔になる。……かなり心配だ。
褒め上手なイケメンとかにさらわれていかないでね……。
「ゆうくんにそう言ってもらえて嬉しい」
さっきのは杞憂だったみたいだ。俺はほっと胸を撫で下ろした。
「じゃあ、さっそく料理作ろっか」
「あ、うん、お願いします」
俺はいつも通り、結花にぺこりと頭を下げてお願いする。
……ん?
ちょっと間が空く。
「一緒に作らない?」
「え……もちろん!」
結花は少しだけ恥ずかしそうな表情で提案してくる。
断るはずがあるだろうか、いや、ない!
ってことで、おうちデートらしく一緒に料理することになりました。
献立はビーフシチュー。
「じゃあこれ切ってもらってもいい?」
「おっけー」
結花がにんじんとかじゃがいもを俺に託す。
今までも一緒に料理を作ったことはあるのに、台所で結花と密接して料理してることにドキドキする。
動いたら肩が優しく触れあうぐらいの距離。
なんか暑くなってきたな。
「切り終わったよー」
前よりもだいぶ手際がよくなってきた。
「ありがとう、ゆうくん」
こんな作業だけで感謝される。……いいの?
「できたよー!」
「ありがと……! 美味しそう!」
柔らかい牛肉。シチューの味付けが染み込んでいて美味しい。俺が切った人参とかじゃがいももちょうどいい具合に柔らかくなっている。
「「ごちそうさまでした!」」
「美味しかった! ありがと、結花」
「ゆうくんも一緒に作ったじゃん」
「え、俺あんまり手伝ってないよ」
「いや、ゆうくんの細かい手伝いが助かるんだよ?」
「そうなの?」
「うん! ゆうくんと一緒に作るの楽しいから、また手伝ってね?」
理想的な夫婦ってこんな感じなんだろうな。
結花(俺の妻ver)を想像する。
俺が仕事から帰ってきて、玄関のドアを開けたらエプロンをつけた結花が出てきて……
お決まりのセリフとか言ってくれるのかな。
いや、結花は働いてそうだな。
……同じ職場って可能性あるな。
俺は1人で想像を膨らませて、ついニヤニヤしてしまった。
何はともあれ、結婚生活、めちゃくちゃ幸せだろうな。
「このあと、どこか行く?」
「あ、いいね」
というわけで、食休みをした後にお店とかに行くということになった。
ベッドに2人で腰かける。
「お出かけするまで話そー」
「そうだね」
歩きながらも話すって分かってるけど、結花と話してるといつもなぜか話し足りない気がする。
他愛もない話でも楽しいんだ。
こんな時間を大事にしたいと心から思った。
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