夜の電話
ギリギリ電話が繋がった。あぶね……!
「もしもしー?」
自然と第一声が弾む。
「こんばんは、ゆうくん」
「うん、どしたの?」
「……なんだかどうしてもゆうくんの声聞きたくなっちゃって。いきなり電話してごめんね?」
結花はちょっと恥ずかしそうに、小さな声で言う。顔を赤くして言ってるんだろうな。
「いや、大丈夫だよ!俺も結花に電話かけようかなって思ってたから」
「ほんと? 嬉しいな」
「毎日でも、電話してもらってもいいよ?」
「それなら毎日夜話そっか」
「え、いいの?」
「私は大丈夫だよー」
俺はしっかりとガッツポーズする。
毎日電話は忙しくて無理?
そんなことはない。
何よりも結花を優先します、俺は。
恋は盲目ってよく言うけど、ご多分に漏れず俺もそうらしい。
だって結花が可愛いんですから!
しょうがないよね?
それに学校じゃあんまり話せないからね。
学校ではクールキャラ貫き通してる感じだし。
翔琉によると、
「いや、優希といる時は恋の表情をしてる」
らしいけど。
他の男子に話しかけられたときはクールで、俺が話しかけたときは花が咲いたみたいな明るい笑顔になってデレデレモードになるらしい。
なにそれ、めちゃくちゃ嬉しいんだけど?
……まあ結花が大変そうなら毎日はやめるけどね。
「夜に電話って、なんか初日からカップルらしいことしてるね」
「ん、確かにそうだね」
うお……。
大ダメージを食らった。デレデレが凄まじい。
俺でさえ致死量ギリギリのデレだ。
これを翔琉が耳にしてたら一発で昇天してるな。
「あ、そうだ、聞きたいことがあったんだよね」
「ん、なになに?」
「お弁当に入れて欲しいものってある?」
え……! もしかして毎日結花の手料理が食べられるんですか!? 週末だけじゃなくて? 嬉しすぎます!!
「うーん、卵焼きがいいかな」
「じゃあ毎日つくるね?」
「やったー! ありがと」
「楽しみにしててね?」
「もちろん!」
色々喋ってたら30分ぐらい経ってた。
時間の流れが早すぎる。
なんで授業は0.5倍速みたいな感じでしか流れていかないのに、この時間は体感2倍速なんだ!?
「明日の朝も一緒に行こうね」
「もちろん!」
「じゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみー」
今度はビデオ通話にしよ。
結花の表情も見たいな……。
前から翔琉に、
「付き合い出したら少し気まずい時期あるぞ?
何したらいいか分からなくなるからな
ほぼいつも通り話していいからな?」
って金言を頂いていたんだけど、その心配は不要だったみたいだ。
明日の朝とお昼のお弁当を想像してわくわくしてたらいつの間にか寝てた。
電話かけてよかった。
いつも学校だったらあんまりゆうくんと話せないから……。
学校では他の男の子に対して取る態度と同じようにツンツンしてそうだし。
毎日ゆうくんにお弁当食べてもらえるのは嬉しいな……!
美味しいの作れるように今日はこの辺で寝ようかな。
余韻に浸るのはこれぐらいにして、寝ることにした。
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