美少女の料理教室
玉ねぎの皮はなんとか剥けた。
(一瞬皮剥き器を使ってみるべきか迷ったけど)
次は玉ねぎを切り刻めばいいんだけど、、
もちろんやり方は分からない。
別の料理を作っていた一ノ瀬さんをわざわざ呼んで、切り方を教えてもらう。
「玉ねぎってどうやって切るの?」
「くし切りですね、」
実際にやって見せてもらうんだが……。
(ちょっと近くない?なんか甘い良い匂いする……)
俺のすぐ隣に一ノ瀬さんの顔がある。たぶん30cmもない。そのためフローラル系のいい匂いがする。
長い睫に、ガラスのような澄んだ瞳。透明感のある白い肌。耳にかかる滑らかな黒髪。
その美しい横顔に俺の視線はたちまち引き付けられてしまう。思春期男子には刺激が強すぎやしませんか。
(この状況、ヤバすぎる……平常心、平常心……!)
一旦深呼吸しよ。
「こんな感じですね」
「、、分かった」
危ない、危ない。現実に戻って来れなくなるとこだった。
あとめちゃくちゃ目が痛い、涙出てきた。
一ノ瀬さんを眺め過ぎたからかな?
恐るべし美少女パワー。
※彼は玉ねぎを切ったことが今までに1度もありませんでした。
そして炒めていく。
まあ混ぜてりゃなんとかなるだろ。
あとの味付けは一ノ瀬さんにやってもらう。
手際が良すぎる。
将来仕事もできる完璧美人に成長することは容易に想像できる。エプロン着けておたまを持ってる姿がね。
貰い手の立候補者はたくさんいるだろうな。
やっと出来上がった。
初めて料理作り(の一部)をやり遂げたことに若干達成感を感じる。
……はっきり言って3分クッキングとか不可能だよね。
別に料理を1人で完成させたわけではないのに、真理を悟ってしまう。
「いただきます!」
3割ほど俺が手を加えた豚肉の生姜焼きと、一ノ瀬さんが全て作った味噌汁とほうれん草のおひたし、炊きたてのご飯。
なんか輝いて見えるのは気のせいだろうか。
味付けも最高だ。ジューシーな感じに仕上がっている。
「ごちそうさまでした!!
美味しすぎる……幸せすぎる……こんなに美味しい料理作れるの凄いなあ」
「一条くんに美味しいって言ってもらえるので作りがいがあります
……別にお金が欲しい訳でもないので大丈夫です」
「いやいや、料理教えてもらったし、なんか買いたい物とかこれで買ってよ」
と言ってお金を少しだけ強引に渡す。
「じゃあ……ショッピングついてきて貰えませんか?」
「え……いいの?」
「はい!」
ということでテスト後のご褒美買い物デートが決定した。
最近天才美少女さんの距離の詰め方が異常だ。
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