運命の結果発表と嫉妬
運命のテストの結果発表のとき。
「番号順に取りに来いー。1番、秋山、2番、一条」
点数が書かれた紙を受けとる。
(……これは!)
国語92、数学86、英語95。
……これは学年1位行ったんじゃないか?
放課後までは相手の点数聞かないという取り決めなので聞きたいけど聞かない。
一ノ瀬さんの表情は……?
学校テンションでクールな感じの表情で、あんまり読めない。どうだったんだろ。
放課後。一ノ瀬さんと屋上に集まってお互いの結果を見せることにしたけど、用事を急に頼まれて一緒に行けなかった。
(まだそんなに時間は経ってない……!)
急いで階段を駆け上がる。
「おい」
なんかいきなり呼び止められた。「俺、急いでんだけどな……」と思いつつ足を止める。
髪は染めてないけど、だいぶ伸ばしててチャラそうな男子3人組が睨んでくる。
「なんでお前みたいなのが学校の天使に話しかけられてんだぁ!?」
(うわっ……ここにもこんなのいるんだ)
正直言い方は悪いが、イキっている奴らがいるのって中学までかと思ってた。しかもわりと進学校として有名なここの高校にもいるのは驚きだ。
「ごめん、今時間ないからあとで」
「おい、待てよ」
そう言って俺の腕を掴んでくる。乱暴すぎだな。
「穏やかじゃないね」
フハハって言ってそうな、不敵な笑みを浮かべて、階段を降りてくる翔琉。 メンタル化け物か。
「お前はお呼びじゃねえよ」
「なんでだ、親友が困ってるのにか?」
翔琉はまだニヤつきながら3人組の相手をする。
「イケメンで友達の気持ちわかってあげてます、俺って格好いいって感じか?」
「は……? 大丈夫か? 俺はすまんがお前らと思考回路が違うんだよ」
「まあこいつはどうでもいい……
なんでお前みたいなのが一ノ瀬さんに話しかけられてんのかってこと」
「……お前らにとやかく言われる筋合いないだろ」
俺は流石に腹を立てて言う。一ノ瀬さん待たせてるし。
「そうだぞ、優希は長い時間をかけて今の関係を手に入れたんだ、! 勉強でも追い付けるように頑張ってるんだからな!」
「うるせーな、こいつら」
「今日のとこは放っておこうぜ」
奴らはその後も悪態をつきながら去っていった。
自分たちから絡んできたくせに……。
まあ何もしてこなかったからいいや。
「すまん」
「え、親友なら当然さ」
「……ありがとう」
「まあ礼には及ばん
もう1つ重要な理由があるからね」
「え、なに?」
「優希たち、俺の推しアニメの主人公とヒロインに似てるんだよ……アニメのような幸せなラブコメ生活を眺めるのは俺の特権であり、義務なんだよぉぉ!!」
「お、おう」
さっきまでは純度100%の感動だった。
……今は、なんというか、50%の感動と50%の尊敬って感じかな。ラブコメのためならなんだって出来ちゃうんですか、翔琉さん?
「というわけで、今の曖昧な関係をさっさと終わらせてさらに高められたイチャイチャを見せてくれないか!?」
「どういう趣味なの……?」
心配も加わってきました。
「実生活でもラブコメ成分は重要な栄養素だろ?」
「翔琉に彼女いない理由、分かったかも……」
勘違いしないでほしい。アニメとか俺らとか(?)見てたらもう十分なんじゃないかなってこと。
「ちょっとひどくないか!?」
「いや、そういう意味じゃなくて」
さっきの仮説は間違ってたんだな。別に十分ではないらしい。
「まあいいや、後で聞くとして……一ノ瀬さんが待ってるんだろ?」
「ごめん、行ってくる」
「優希が1位だった時の結果は決まってるけど、結果聞かせてな」
「うん!」
俺は階段を駆け上がって、勢いよく屋上への扉を開けた。
いつもは重く感じられる鉄の扉が、この時は軽く感じられた。
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