定番(?)デート③観覧車
そろそろお昼食べるとするか。
「あそこのベンチに座って食べませんか?」
「そうしょっか」
わくわくしながら弁当箱を開ける。
「おー」
つい感嘆の声が漏れる。
色とりどりの食材たちが光輝いて見える。
一条優希フィルターがかかってなくてもそう見えると思います。
甘そうな卵焼きとか、きんぴらごぼうとか。
「「いただきます!」」
「美味しい!」
「えへ、ありがとうございます」
お腹も満たしてもらって、その上、聖女の微笑みまでいただきました!
もう色々お腹一杯っす。
「「ごちそうさまでした!」」
俺たちは横浜の中心の方まで戻ってきた。
遠くからでもよく見える大きな観覧車。
「あれですね」
「そうだねー」
1周するのに15分かかるらしい。
……15分も2人きりを楽しめるというわけか!(めっちゃポジティブ)
でもちょっと高いところは怖いんですけど……
まあ、もちろんそんな素振りはミセマセンケド?
頂上あたりまでやって来た。高い。怖い。
30km先ぐらいまで見えてるんじゃないか?
下の方は見ないようにしよう、一ノ瀬さんの方眺めとこう。
……一ノ瀬さん、自撮り棒持ってない? そんなの使うんだ、意外だな。もっとキャピキャピしてる女子が持ってそう(圧倒的偏見)
……なんか手間取ってない?
「これってどうやって使うか分かりますか?」
「たぶんこうじゃないかな……」
やっぱり普段使わんのかい。俺も使い方そんなに知らんけど。
イヤホンの穴にコードさしたら自撮り棒のボタンで操作できるのか。技術の進化を感じる。
「ありがとうございます! ……じゃあツーショット撮りませんか?」
「おー、もちろん!」
ちょうど観覧車のてっぺんまでやって来た瞬間。
一ノ瀬さんがボタンを押す。
観覧車という密室×2人がフレームに入るような自撮りというわけで、俺たちの距離はほぼ0。
この状況にドキドキしない男がいるだろうか、いや、いないっ!
「撮れました!」
「お、見せてー」
「こんな感じです」
ちゃんとカメラ目線してた。良かった。
恥ずかしくて視線反らしてたかと思った。
「優希くんに送っておきますね?」
「ありがとう!」
これでスマホのロック画面の背景はこれに決まりだね!!
「俺だけ耳まで赤くなってないか……?」
「あ、ほんとですね」
そして顔を見合わせて笑う。
「……私も、優希くんとしかこんなに恥ずかしいことはしませんよ?」
ボソッと一ノ瀬さんが言った。
「え?」
今度こそ幻聴ではない気がする。
「え、いや、なんでもありません!」
一ノ瀬さんは慌てて取り繕おうとするけど、俺ははっきり聞いたはず……と思う。
「今日はありがとね」
「いえ、こちらこそ楽しかったです!」
一ノ瀬さんの家の前まで送りに行った。
「これからもこんな風に過ごしたいな」
ん!? なんか一ノ瀬さんの本音の言葉がまたまた聞こえたような。独り言のつもりなんだろうけど。
「……あとの夏休みは勉強!勉強!ですね」
「ええー」
急に現実を突きつけられた気がする。
「私に勝つんですよね?」
一ノ瀬さんがニヤッとして言ってくる。
「うん、今度こそは……!
勝ったら一ノ瀬さんに伝えたいこともあるしね」
「楽しみにしてます……!でも、手は抜きませんからね?」
「望むところ!」
あと2週間頑張るしかねえ!!!
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