まだ付き合ってないの?
昨日は一ノ瀬さんを送り届けたあと、家に帰って布団に飛び込んだ。
あー……ねみー。
もう9時前じゃん。驚異の11時間睡眠。
ってなんか電話鳴ってる!?
「んー」
転がってスマホを取りに行く。
「もしもしー」
「おー、優希、遊びいかねえか?」
「今起きたから準備遅くなるけどいい?」
「おん、いいよ」
正直一ノ瀬さんかと思ったとか言わないけどね。期待してたとかね。
まあ翔琉と2人で最近遊んでないような気がするので今日はこれでいい。
とりあえず一ノ瀬さんに連絡しよー。
「……てなわけで、今日は家事代行は大丈夫だから」
「……そうですか」
文字だけなのに若干残念そうな感じが伝わってくるのは俺だけですか?
「まあ、用事ないときはいつでも呼んでもらって大丈夫ですよ!!」
「おっけ」
これ、アナウンスしてもいいかなあ?
って、向こうがアナウンスしてるじゃん!?
ちょっと笑ってしまった。
最近、天才美少女さんの「押し」ステータスの値が急上昇してる。
俺も対応力上げよ。
「すまん、待った?」
「いや、大丈夫だよ」
俺らもなんか付き合いたての彼氏彼女みたいな会話してんじゃねぇ!!
「で、どこ行くの?」
「カラオケ」
「ほんと好きだな~」
「月一回は歌いたいんだよ」
というわけで俺は翔琉が歌うアニソンを聴く。
普段のクールそうな雰囲気と全然違う。めっちゃ生き生きしてる気がする。
なんで俺とかの友達までにしかヲタバレせずに済んでるんだろう。 隠すの上手すぎだろ。
「その曲いいねー」
「これ? これはあの大人気ラブコメのOPで」
「あー、こないだアニメやってたやつ?」
「そうそう、今度円盤貸そうか?」
「んー、気が向いたら見る」
まあでも、最近は俺も少しアニメ見るようになってきた。一人暮らしだったら親の目とかも気にしなくていいからねー。
……なんか目の色変わりませんでしたか!?
「……現実でラブコメしてるから二次元は大丈夫だって言うのか?」
「あ、いや、そんなんじゃないけど」
「、昨日夏祭り一ノ瀬さんと2人で行ってたよなああああ!?」
「ナゼ知っている?」
「俺らは全て知っているんだよ、優希くん」
「え……こわ」
「いや、ふつーにいつものメンバーで行ってたらたまたま金魚すくいを楽しむお2人を目撃しましてー」
「あー、まじか。でも別に隠そうとしてた訳では……」
「いや、大丈夫だから。
優希、幸せになってくれ」
「そんなに悲しそうな顔しないで!?」
「いや、してないよ?」
「無自覚なの!?」
「で、どっちが告ったの?」
「う、いやー、まだ付き合ってないと言うか」
「え……」
「それって、まだハーレム形成を狙ってるってこと!?」
「狙ってねーよ」
なんでラブコメみたいな話になるとそんなに目が輝くんだ。
やっぱこれ周りにバレてるだろ。
でも、ヲタクイケメンって希少性高過ぎると思うんだけど、なんで翔琉はリア充じゃないんだろうな。
「まあ、頑張ってくれたまへ」
「昔の人いるやん」
「で、いつ告白するの?
もしかして告白してもらいたい派?」
「……テストで勝てたら」
「いや、ラブコメテンプレじゃん」
「そ、そうだけど」
……次のテストは夏休み明け。
夏休みの宿題もまだ終わってないんだけど!?
まあ後半に本気出すしかないよね。
「じゃあ学年1位取らないとな」
「そうだな」
「俺は応援してるからな!」
「いや、無理して言わなくていいからな!?」
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