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買い物デート?

 週末。

 ついに2回目の家事代行の日がやってきた。


「もうすぐ着きます」とトークアプリの通知が鳴る。

(前回ほぼ何もしてないし、今日はちゃんと手伝わなきゃだな)と思って玄関に向かう。


 そこには動きやすいよう身支度をした、学校での姿とまた違う魅力をたたえている一ノ瀬さんがいた。

 白のTシャツに、ハイウエストデニム。

 そして、髪はポニーテールにしてて、黒の帽子を被ってる。ボーイッシュな感じ。

 美人は何を着ても似合う。

(やっぱり可愛いし、格好いい……!)


「どうかしましたか?」


玄関で固まっている俺を一ノ瀬さんは不思議そうに眺める。


「あ、いや、なんでもない!

今日もよろしく、俺もやれることは手伝うよ!」

「じゃあ、よろしくお願いします。さっそくお昼作りますね?」


 そう言って一ノ瀬さんは家に上がって、冷蔵庫を開ける。ここまでは順調。たぶん。


「……!?」


 ここで2人は俺が犯した大きなミスに気が付いた。

 そう。冷蔵庫に何も入ってないのだ。

 前回は俺が引っ越した日にとりあえず買っておいた賞味期限ギリギリの食料たちがあったが、今回はそれもない。


(やらかした、、)


 早々に事件を起こした。前回よりプラスどころかすでにマイナスだ。


「……今から豚肉の生姜焼き作ろうと思うんですけど、材料がないので買ってきて貰えますか?

 部屋の掃除は私がするので」

「……ごめん、何買ったらいいか分からない」


正直な本音を漏らす。

 本当に申し訳ない。豚肉の生姜焼きと言われて豚肉と生姜しか買うものが分からない。名前そのままじゃねぇか。


「仕方ないですね……。荷物持って貰えますか?」

 呆れたように苦笑いされてしまう。



 3分後。俺は買い物バッグを持って一ノ瀬さんとスーパーへの道を歩いていた。

 道は一応分かる。スーパーではカップ麺しか買ったことがないが。


(てか成り行きで買い物デートみたいになってない?? やっぱり人間万事塞翁が馬ってこと?)

 やらかしたことを忘れかけている。ほんと男子って単純ダネ!


 わりとすぐ着いた。


「一条くんはこちらのスーパーにはよく行かれるんですか?」

「うん、まあまあ近いからねー、カップ麺しか買ったことないけど」

「え、ほんとですか?」


 若干引き気味に言われる。最後の情報要らんかったわ。余計なこと言うなよ、俺。

たぶんUMA見たときぐらいの衝撃なんだろうな。見たことないから分からないけど。


(てか話しかけてくれるとか、、マジで天使!?)


 スーパーに入ってからも色々と話しかけてくれて、

 会話が弾む。

 学校では絶対にあり得ないことだ。


一ノ瀬さんは自然な流れで買う食材を選んでいく。




 俺は買った豚肉、生姜、醤油やみりんといった調味料などがぎっしり詰まったバッグを持つ。ちょっと重いなと思うけど、そんな素振りは一切見せない。


「私もここによく買い物に来るんです」

「!?え、家近いの?」

「そうですね」


 そう言ってタワマン地区を指差す。

(なるほど……。)


「けっこー近いんだねー」

 ってとりあえず返しておく。上手い返し思い付けよ、俺。なんか気まずくなるだろ!



 そして、家へ帰り着いた。

 もう少し歩きながら話していたかった。たとえ気まずい沈黙が生まれないように話しかけてきてくれているのだとしても。


 でもこれでちょっとは一ノ瀬さんとの距離を縮められた気がする。

 あとは生姜焼き作りを手伝ってデキル男であることを証明するだけだ、、!

 と気合を入れて玉ねぎの皮を剥き始めた。





















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