花火大会
やっぱり人多いな……。
普段はただの通りなのに、出店があるだけでこんなに変わって見えるのか。
「あ、綿あめ食べませんか?」
「おー、いいね」
着物姿の美少女に、綿あめは合う。例えるならラーメンに紅しょうが。いや、もっと綺麗に言うなら梅に鶯。うん、こっちの方がいいな。
大人っぽい感じに、綿あめを持ってることで幼い感じが加わってる。
またまたとうぶん補給に成功しました!
「美味しいですね……!」
「うん、久しぶりに食べたかな」
「次は金魚すくいしませんか?」
「そうだね!」
今日の一ノ瀬さんはいつもと比べてかなりテンションが高い。(別に普段テンション低い訳ではないけどね!)
まあでも、俺も久しぶりの夏祭り+一ノ瀬さんと一緒に来ていることでテンションは爆上がりしておりますけれども!!
「勝負、しませんか?」
自信がありそうな、勝者の余裕を感じさせるような微笑みを見せて言う。
「もちろん負けないよ?」
「望むところです!」
ほんと一ノ瀬さんって勝負事になると目の色変わるよな。天性の勝負師なんか!?
(久しぶりにポイ握ったな……)
水圧がかかってポイが破れてしまうから、たしか斜めに引き上げなきゃいけないんだよな。
あと、表裏を交互に使うとか……
ピチャッ。
一ノ瀬さんのポイの上で橙色の金魚が跳ねる。
流れるように容器に金魚が追加されていく。
……一ノ瀬さん強すぎません?
俺が4匹ゲット(これ平均より取れてますよね?)で、一ノ瀬さんは8匹だった。
しかも取った金魚を近くにいた子供にあげるとか格好よすぎ。
「まだまだ優希くんには負けられませんね」
「ぬぬっ……。」
「あ、優希くんが取った金魚もらってもいいですか?家に水槽あるので」
「うん、俺家に水槽ないから助かる」
夏祭りの遊びと言えば○○っていうの、まだやってないよね??
なにかって、?
射的だよ!!!
「一ノ瀬さんが欲しいもの取るよー」
「じゃあ、あのぬいぐるみが欲しいです」
射的は俺の得意種目だ。
中学生のときは友達と遊びに行ったときとかに腕前を見せていた。
狙いを定めて……
弾は綺麗に飛んでいって命中する。
「はい、どうぞ」
「わあ、ありがとうございます!
大事にします!」
「……私もやってみていいですか?」
「うん!」
一ノ瀬さんのターン。
……百中百発でしたね。当然のように。
「そろそろ花火始まりますね!」
ちょうど花火が上がった瞬間。
一ノ瀬さんがこちらを振り向く。
気が付いたら、スマホのカメラボタンを押していた。
綺麗な紅色の花火に、パッと咲いたようなあどけない笑顔。夏の思い出って感じ。
(奇跡の1枚かも……!)
出来るならこれスマホのホーム画面にしたいな……。
まあ、そろそろスマホをバッグに入れて、この光景をしっかり目に焼き付けておこう。
そう思って一ノ瀬さんの隣に並んだ。
「……来年も一緒に見に行こう」
「はい!」
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