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勉強祭りの冬休み

 文化祭が終わると、俺たちも周りも受験勉強に本腰を入れ始めた。

 最後の定期テストが終わり、もう小雪が舞うような季節がやってきた。


 「冬休み、どう過ごそうか……」


 俺は頭を抱えながら翔琉に言う。ってか、特進クラスからエスカレーター進学ってわりと珍しい気がする、翔琉たちだけか?


 「また勉強合宿する、とかは?」

 「あー……どうしよか」


 俺は机に突っ伏して言う。もう勉強疲れてきたよ……。

 今追い込まなくていつ追い込むんだ、って感じだけど。


 「ん?」


 ピロン、とスマホから音が鳴る。あれ、俺勉強の妨げになるからって通知切ってなかったっけか。言うまでもなく結花からの通知と、流石に親のは切ってないけど。


 「年末、家で勉強する?」


 とメッセージがあった。誰から送られてきたんだ!? 結花か? 結花だよね?と確認すると、親からだった。

 ……流石に結花じゃないか。2人きりであの部屋にいたら、イチャイチャせずに何をするんだ、って雰囲気になりそう。


 「んー……結花も一緒に行っていいの?」

 「もちろん! 未来の花嫁でしょ?」


 恥ずかしいこと言わないでよ……と思いながら親になんて返そうか考えると、結花がやってきた。


 「どうしたの?」

 「い、いや! なんでもないよ?」


 俺はさっとスマホの画面を消して隠す。文化祭でほぼプロポーズしたみたいなもんだから、恥ずかしがる必要はないような気もするけど。


 「ん?」


 結花はきょとんとした表情をして、俺の仕草をいぶかしがる。


 「年末、俺の親が家で勉強しないかー?って言ってきて。……家事の負担も減るから、俺は行こうかな、って気持ちなんだけと、結花はどう?」


 最近は家事は半々ぐらいで分担してるけど、結花は自分の家のこともあるだろうし。


 「お邪魔していいの? それなら、私も行きたい!」


 ……親には、俺たちを連れて出かけないように言っておかねば。どこかへ行きたいのはやまやまなんだけど。


 「いつから行く? 親は何日いてもいいって言ってるんだけど」

 「んー、今週末はお母さんが家にいるらしいから、たまには一緒に過ごそうかな、って思ったり」

 「そっか……!」


 久しぶりに結花のお母さんのこと聞いたな。良い関係を築けてるのなら良かった。まるで自分のことのように嬉しい。


 「じゃあ、週明けから行こっか」

 「うん、ありがとう」




 そして、月曜になって、俺たちは電車に乗り実家へと向かう。

 俺も結花も、単語帳を眺めながらの旅になる。……辛い。


 「「いただきます」」


 お昼ごはんの時間が、唯一の癒やしだ。


 結花は美味しそうな駅弁を食べている。俺もそういうのにすれば良かった。

 さっきはお腹空いてないかな、って思ってたので、おにぎりとバウムクーヘンしか買ってない。


 「ゆうくん、どうぞ」

 

 俺の視線に気付いたのか、結花は箸で卵焼きを挟んで俺の方に近づけてくる。

 ……そんな物欲しそうな目してた? ちょっと気まずい。


 俺が固まっていると、結花は箸をさらに近づけて促してくる。


 「ん、はむっ」


 結局、俺は卵焼きをいただいた。柔らかくて甘い。


 「バウムクーヘン、一口もらってもいい?」


 結花はいたずらそうに、にやっとしてそう言う。

 

 「もちろん」


 バウムクーヘンが狙いだったのかもしれない。

 美味しそうに一口分のバウムクーヘンを頬張る結花を見ると、その表情をまだ見ていたくなって、半分ちぎって渡した。


 「いいの?」

 「うん、どうぞどうぞ」


 ランチタイムはめちゃくちゃ楽しかった。……ランチタイムは。



 そのあとはずっと勉強ばっかりしていた。いつの間にか、乗り換えのタイミングがやってきた。

 乗ってる電車が変わっても、やることは同じだ。


 実家の最寄り駅までたどり着いて、俺たちは下車する。家までの道のりも、結花と話せる貴重な時間だ。遠回りしようかな。




 「久しぶり、結花ちゃんと優希」


 玄関まで出てきた親が俺たちを迎え入れてくれる。


 「勉強に集中してくれたらいいからね? 特に結花ちゃん」

 「いいんですか?」

 「うん、食べたいものがあったらリクエストしてね? じゃあ、勉強頑張って」

 「うへぇ……」


 結花がいることで、ぎりぎりメンタルは保たれるか……。



 




 


 


 


 


 




 


 

 


 

いつも読んでくださりありがとうございます!


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