USJ2日目➁
「じゃあ、2人で楽しんできなよー」
天野さんはぶんぶんと手を振りながら言う。天野さんと翔琉はフライング・ダイナソーにチャレンジするらしい。
俺はジェットコースターは乗れるけど、流石にあれは無理だ。怖すぎる。
「あれ、乗りたいな」
結花は、乗れそうな低めのジェットコースターを指さして言う。
魔法生物の背中に乗るアトラクションらしい。
「うん、乗ろ乗ろ!」
俺たちは1時間ほど列に並んでから、ようやくジェットコースターの座席に座れた。
「前よりか、怖くないかも」
結花は俺の方を向いて、微笑みながら言う。その表情は別に固くない。楽しそうなら、良かった。
ゆっくりとジェットコースターは走り出し、結花と俺が羽織っているローブは風でばたばたはためく。
結花の長い黒髪も思いっきり風でなびいている。
「あはは!」
結花は満開の花みたいな、とびきりの笑顔を見せる。
「あっという間だったね」
「もう一回乗ろ?」
「いいよ!」
結花はこのアトラクションを気に入ったらしく、そう俺を誘ってくる。もう一回乗ってからライドの方に行ったら、時間的にもちょうど良さそうだ。
結花にローブの袖をそっと掴まれて、さっそく並ぼう、と催促される。
俺は結花に笑いかけて、列の一番後ろに結花と並んだ。
俺たちは2回目を乗り終えた。
「楽しかったね」
「そうだね」
それにしても、結花のローブ姿はほんとに似合っている。久しぶりにハリポタ見るか読むかしたくなってきた。原作読んだら英語の勉強にもなるかな、なんてことを考えた。
「次は城の中にあるアトラクションに行こうと思うんだけど、どう?」
「うん、行きたい!」
そして、ライドアトラクションの列に並んて待つこと2時間弱。
パークの方に、「行ってらっしゃーい」と送り出され、ホグワーツ城の中を巡る旅が始まる。
隣に座っている結花は辺りを見渡しながら、笑顔になったり、驚いたりところころと表情を変える。
「うわおっ!?」
俺は、そんなふうな可愛らしい結花の様子に気を取られていて、目の前にドラゴンが迫っているのに気付くのが遅れた。
それで、あまりの迫力に驚いて、つい変な声が出る。
「ふふっ」
結花は、俺の方を向いて楽しそうに笑っている。
2時間待つ価値がある5分間だったな、と俺は思う。正直もう一回乗りたい。
ただ、もうそろそろ4人で決めた集合時間なんだよなあ。
集合場所は、わりと最近出来たマリオのコーナーの前にしている。
俺たちは、ハリーポッター関連のフォトスポットで何枚か写真を撮ってから、集合場所へと向かう。
「おー、結花たちだ! 楽しかった?」
天野さんと翔琉は、俺たちを見つけて走ってくる。
「うん! 凄く楽しかったよ」
結花は天野さんに抱きつかれたけど、照れることなく、優しく微笑んで言う。姉味がすごい。
「あとは、ここから見て帰ろう?」
あと2時間ちょっとしかないから、アトラクションには乗れそうにないけれど……アトラクションに乗らなくても楽しめそうだ。
まるでマリオの世界に入ったかのような光景に、俺と翔琉は興奮する。
「このハテナブロック、叩いてみようかな」
「なにか仕掛けがあるんじゃないか?」
目を輝かせている俺たちを、結花と天野さんは優しく見守ってくれる。
「そうだ! あとでここで写真撮ろうよ」
結花が皆に提案する。
「いいね!」
俺たちはキノコ王国を探検しつくして、マリオとルイージの帽子をそれぞれのカップルどうしお揃いで買った。
「じゃあ、撮るよー?」
「うん!」
4人で並んで写真を撮る。
この2日目分の思い出の力で、今年中は頑張れそうだ、と思えるぐらい楽しかった。
いつも読んでくださりありがとうございます!
ブックマーク、評価が励みになります!




