USJ2日目①
もぞもぞ、っとベッドの中でなにやら蠢く感覚がして、目が覚める。
「ゆうくん、あったか……」
寝ぼけモード結花が、俺を抱きしめて離さない。抱きまくらにされている。
寝ぼけモードの破壊力異常。しかも、本人は無意識的にやってるようなもんだけど、俺は目が覚めてるから……正直イチャイチャしたくなります。
撫でるだけで我慢しよ。と、思っていたんだけど。
目の前で無防備な姿を晒している結花を見てると、撫でるだけで済まなくなってきた。
これぐらいいいよな……?と思って、頬に軽くキスをする。
「……今日の夢、リアルで幸せだなあ。ほんとのゆうくんなら、あんまりしてくれないし」
寝ぼけ結花は聞き捨てならない発言をする。
……結花が起きるまで、ぎゅっと抱きしめかえしてやろう。起きたとしても、離さないでおこう。
「おはよー」
天野さんと翔琉は、眠そうな表情で部屋の前に立っていた。これは夜遅くまで起きていた感じか?
……俺たちはばっちり目は冴えている。朝のイチャイチャこそ正義だと俺は思う。
「なんで2人とも眠くなさそうなの?」
「そ、それは……」
少し恥ずかしそうな表情を結花は見せる。
「え、なになにー?」
天野さんはいきなり眠気が飛んでいったみたいだ、結花の横に瞬時に移動してきてぎゅっと抱きしめたあと、そのままの体勢で結花をにまにましながら見て言う。
天野さんって、仲良い人に対しては一貫してあんな感じだよな。
「……秘密」
「もー、教えてくれてもいいじゃん。そうだ、今度の女子会で聞き出そっと」
天野さんは、恥ずかしそうに目を背けた結花に強引に目を合わせに行って言う。
この2人、ほんとに仲良さそうだなあ。
翔琉は俺にだけ見える角度で親指立ててるのはやめような。
朝食を済ませると、もう開園時間まであと少しになっていた。俺たちは、ゆっくりとUSJの入口へ歩いて向かう。
「今日はどこに行く?」
「んー……どうしよっか」
俺は、結花があんまり絶叫系得意じゃなかったよな、と思いながら考える。
あ、あそこのゾーンなら大丈夫そうだな。
俺はパッと閃く。
「ごめん、あのさー……」
俺は天野さんに相談する。
「いいよー、じゃあ、私たちはお店とか見てから、他のゾーンに行こうかな」
そこまで言ってから、天野さんはなにやら閃いたらしい。にやーっとして俺の顔を見る。
「……結花と2人きりになるのが狙いだったり?」
「……それもある」
小声で天野さんに問われ、俺は正直に答える。30パーぐらいな。
そして俺たちは夏休みということもあり、ゲートで多少待ったものの、想定時刻とほぼ同じぐらいにパークの奥までやってきた。
「ハリーポッター、私も読んだことあるから楽しみ」
「それなら良かった」
俺たちは、アトラクションの前に、まずは並んでいるお店に入る。
「これ、着てみたかったんだ」
結花はそう言いながら、ローブを手に取る。試着してみるらしい。
「どう?」
「「「めっちゃ似合ってる」」」
結花のローブ姿があまりにも似合い過ぎてて、3人の声が見事に揃った。映画出てました?ってぐらい似合ってる。
結花は試着したあと、そのままローブをレジへと持っていった。そして、杖も一緒に買っていた。
少し高いしなあ。でも、結花と揃えられるわけだしな。
「そんなに悩むなら買ったらいいんじゃないか? 思い出にもなるじゃん」
俺はどうしようか、と迷っていると、翔琉に声をかけられる。
「たしかに、そうだな」
結局、俺はローブとネクタイを買った。
4人で他のお店も見て回り、呪文を唱えたらなにかが起きるスポットにやってきた。
結花が呪文を唱えると、見事に煙突から炎がぼわっと上がった。
「おー!」
ほんとの魔法使いみたいだ。結花は満足気な顔をして、俺たちの方を見る。
「次はどこに行こっか?」
テンションが高い結花を見て、俺もにやっと笑顔になった。まだ、アトラクションもあるんだ……!
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