ホテルにて
「おお……」
俺は今日、明日と泊まるホテルの綺麗さに圧倒されていた。流石、観光スポットの隣にあるホテルは違うな。
俺たちは部屋の前まで上がってきた。
「じゃあ、どっちかの部屋でお菓子パーティーする?」
「そうしよう!」
俺たちは、とりあえずシャワーを浴びたあと、お菓子パーティーまで4人集まってやって、その後はそれぞれのカップルで過ごすということで合意した。
「「かんぱーい!」」
炭酸ジュースとお菓子の袋や箱を開けて、皆で味わう。
普段そんなに映画を見ることがない俺でも知っているような名作映画関連のお菓子がたくさんある。
今の家にはテレビがないので、最近は金ローで昔の映画を見ることもない。
中学のときは親と見てたなー。懐かしい。
「ふー、美味しかった」
「うん、満足だね」
翔琉は天野さんの言葉に、爽やかに相槌を打つ。こうしてるとめちゃくちゃイケメンだよな。別に趣味の話してるときはイケメンじゃない、というわけではないが。
「じゃあ、明日の朝ねー」
「優希、明日俺らが起きるの遅かったら起こしてくれ」
「おう、分かった」
自分たちの部屋に入っていく天野さんと翔琉に、俺と結花は部屋のドアから顔を出して手を振る。
「ゆうくん、今日ちょっと疲れてた?」
2人が部屋に入っていってすぐ、ドアを閉めて俺と結花の2人きりになった瞬間、結花が言う。
「いや、そんなことないよ。まあ……その、ちょっと2人きりになりたいな、って思ったりして」
「そっか……ごめんね、気付いてあげられなくて」
結花はちょっとしょんぼりしながら言う。そ、そこまで大事に捉えなくても……! ダブルデートだし、想定内ではあったから。
「それなら……そこのベッドまで行こ?」
「へ……?」
結花に言われるがまま、ふかふかのベッドに腰を下ろす。
そして、結花は俺の目の前にちょこんと座る。
「……ぎゅっとしてもらってもいい? 実は私も、ゆうくんと同じように思ってたんだ」
結花は俺の方を振り返って、柔らかい微笑みを見せて言う。
俺は返事の代わりに、優しく腕を回して結花を抱きしめる。
温かさを感じるような、少し光の弱い照明にぼんやり照らされて、俺たちはしばらくそのままでいた。
「……でも、2人きりの時間がいつもより一層大事に感じるから、ダブルデートも良いかなって思う」
結花はぽつりと、そう呟く。
「確かに、ずっと2人きりだったらこんなふうに思ったりしないよね」
俺はそう言いながら、より結花の体温を感じたいと思ってさっきよりも密着する。ホテルのシャンプーの良い香りが、ふわっと軽く香った。
「あと何分このままでいてくれる?」
「結花が望むなら、何分でも」
「ゆうくん、前より返し方が上手くなったね」
結花はさっきよりも力を抜いて、俺に身を任せている。これは……寝落ちするまでコースだな。
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