USJダブルデート
「おっはよー!」
俺と結花が駅に到着すると、もう天野さんたちはそこにいた。二泊三日の荷物にしてはちょっと大きめなキャリーバッグを2人とも持っている。
別に勉強道具とかは入れてないはずなのにな。俺もだけど。3日ぐらい羽を伸ばしても大丈夫だろ。
「優希、新幹線の中で遊ぶものは持ってきた?」
「もちろん、トランプとかウノとか、色々あるぞ」
「おー、わくわくするな!」
「それぞれのカップルが隣どうしで座るか、男子どうしとかで座るののどっちがいい?」
「あー、どうしようかな」
新幹線に乗り込んで、椅子を回転させながら翔琉が言う。
どっちがいいかなあ……悩む。
結花の隣に座るのもありだし……目の前に座る結花を眺めるのもありだ。何言ってんだろ。
「……じゃあ、ゆうくんの隣でいい? いいですか、成瀬くん?」
俺が決めかねていると、結花は俺の顔を覗き込んで聞いてくる。
「うん、どうぞどうぞ」
まあ、隣どうしに座るのが一番いいか。
「修学旅行のこと、思い出すね?」
結花は席につくなり、楽しそうに微笑んで俺に言う。
「懐かしいね、ふたりで一緒に夜景見たのも覚えてるよ」
「……俺、その話聞いてない」
「まあ、去年私たちとクラス違ったからねー?」
「はい……1年のとき勉強サボってました」
ふたりで一緒に、ってワードにラブコメハンターが反応した。天野さんはちょっとからかうように翔琉に言う。
普段あまり見ることのない、イジられてる翔琉を見て、俺も結花もついクスクス笑った。
「ま、さっそくトランプやろう」
「あー、話逸したなー?」
話の流れを変えようとして言う翔琉の頬を天野さんがつんつんとつつく。
このふたりは見てて飽きないな。いつもと違って、新鮮な感じだ。
……俺もイチャイチャしたいんだけど、と思ったりする。でも、結花が天野さんと喋ってて楽しそうなのも俺としては見てて嬉しいからいいや。
トランプを4人で楽しんでいると、気づいたら大阪に着いていた。
「ゆうくんって、USJ行ったことある?」
「いや、行ったことない」
「私も行ったことないけど……色々調べてきたから、大丈夫。それに初めて行くのがゆうくんと一緒なの、嬉しいな」
前の修学旅行の時もそうだったけど、とても楽しみにしている、っていうのが伝わってきて、こっちの嬉しさも倍増する。
「これからどこ行く?」
結花が持ってきてくれたマップを見ながら、皆で話し合う。
「初日で、もう午後だし、入口の近くらへんのを見て回ろうか?」
「いいねー!」
全員の意見が一致した。良かった。こないだの行く場所決めみたいにならなくて済んだ。
「なんかあんまりイチャイチャしてないから、ちょっと心配してたけど、大丈夫そうだね」
「いや……まあちょっと恥ずかしいし」
何回かUSJに行ったことがあるらしい翔琉に結花が質問してる間に、天野さんが話しかけてきた。
「そんな一条くんに朗報があります」
「なんでしょうか」
「なんと……ホテルの部屋、二部屋予約してあります」
「おお、ありがとう」
「有能でしょ、私? 思う存分イチャイチャしちゃってね?」
「ほんとに感謝しかないです」
天野さん、そういうところ気が利いてるんだよな。しっかり翔琉の面倒を見てあげられそう。翔琉は頼みます……!
俺たちはゲートを通過して、言っていた通り入口らへんのお店を見て回る。まだ初日なのにお土産とかを色々眺める。
「この帽子、どうかな?」
「買うべき」
結花は、有名なアニメーション映画に出てくる黄色いキャラの帽子を被っている。
俺があまりの可愛さに即答すると、隣で天野さんが吹き出しかけていた。
カゴには俺の分もしっかり入っていた。明日からお揃いで被ろう。
「結構色々買っちゃったねー」
「ホテルでお菓子パーティーしようか」
「楽しそうだね」
俺たちはUSJのすぐ近くにあるホテルまで、わいわい話しながら歩いていった。
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