帰京とダブルデートの計画
もう勉強合宿は3日目になった。
今日は今から伊豆を後にして、午後は翔琉と天野さん2人と合流して、ダブルデートの計画を立てるという予定だ。
「今年も楽しかったね」
「そうだね、伊豆旅行が毎年恒例行事になるかも」
「私は、いつでも大歓迎だよ。言ってくれたらお願いしておくから」
太陽の光を乱反射して、輝く伊豆の海を右手に見ながら俺たちは話す。毎年ここに来れたら、どれだけ楽しいだろう。
窓の外を眺めると、段々と、屋上が窓の大きさからして確認できないような高いビルが視界に入るようになってきた。
「もう東京まで帰ってきたね」
「うん、正直言うとまだまだ居たかったけど」
東京の景色を見ると、ちょっと現実に戻されたような気がしてつらい。
この夏休みが終わってしまったら、入試までしばらくは旅行には行けそうにない。半年ぐらい耐えなきゃ。
そして、俺たちは2人との待ち合わせ場所のスタバへと向かう。高校生にとって、一番利用しやすいカフェランキング圧倒的1位。
「ごめん、お待たせ」
「全然! 大丈夫だよー」
俺たちは天野さんと翔琉たちの隣の席に座る。
天野さんと翔琉は、俺たちが来るまでふたりでデートを楽しんでいたみたいだ。
飲みかけのフラペチーノが2つ置いてある。2つはメロンとチョコで、違う味だから交換とかしたんだろうな。
……もしかして、ふたりの邪魔した?
「さっそく、計画立てていこー!」
天野さんが元気よく言い、俺たち3人は笑顔で頷く。てか、もうすでにこの状況がダブルデートではないでしょうか。
「結花はどこがいいー?」
「んー、遊園地は思ったほど行ったことないから、行ってみたいかも」
「おー、いいね!」
俺と翔琉も、結花の意見にうんうんと頷く。確かに、大きな遊園地にはあんまり行ったことないな。
結花とは横浜の観覧車に乗ったり、国営ひたち海浜公園の遊園地的なところで遊んだ記憶はあるけれど。絶叫マシンとか、乗ったことないな。
「じゃあ、行くとこ決めよー?」
「そうだね。まあ……関東民からしたらあそこしかないでしょ」
まず近いし。デート場所のイメージあるし。
ということで、俺たちのダブルデート場所は夢の国に……
「いやいや、大阪まで行くのもありだよ」
「それ。あかりの言う通りだよ」
……決まってなかった。しかも翔琉は天野さんのこと下の名前で呼べるようになってる。成長が早くて嬉しいよ。
「たしかに。修学旅行で関西の方に行ったの、懐かしいね」
結花はそう言いながら、俺に微笑みかける。……これ、もしかして夢の国支持派は俺だけだったり? そこまでこだわりがあるわけでもないが。
「これは多数決するしかないね」
天野さんはそう言って、俺たち3人の顔を順番に笑顔で眺める。
……ということで(2回目)、俺たちの最終的な行き先は大阪のUSJになった。
「で、いつ行く?」
「んー、8月入ってからすぐとか?」
「私は大丈夫だよ。ゆうくんは大丈夫?」
「うん。ずっと家にいる予定だったから」
「じゃあ決まりだね」
翔琉たちはたぶんいつでも大丈夫だろう。
ダブルデート、楽しみだな。普段の2人きりのときとは違う結花の表情を見れるだろうな。天野さんとイチャイチャしてるのとか。
うっ。隣に座ってるやつの影響がさらに強くなってる。
ただ、結花と2人きりの時間ももらえると助かる。
そういえば……ホテルの部屋、どうするんだろ。
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