表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/200

GW明け

ゴールデンウィークが明けてすぐの月曜日。朝から憂鬱だったなあ。

……今朝は結花のパジャマ姿見られなかったし。



「ゆうくん、今年の体育祭は一緒に運営やらない?」


結花は俺が帰る準備をしている間、教室の後ろの黒板を眺めながら言う。


「あ、もうそんな時期か」


俺は重たいリュックを背負って、結花の隣に並び、掲示物を一緒に読む。


「最終学年だし、やってみようかな」


正直俺は今まで体育祭に乗り気ではなかったけれど、運営やってみるのもありかなと思う。

ブロックリーダーとかみたいに闘志MAX、って感じみたいでもないみたいだし。それなら俺の居場所もありそうだ。


結花と一緒に仕事できるならいいか、一緒に仕事とか、前のバイト振りだなあ。なぜか知り合いがいるとこしか引き当てなかった時の。


「それなら、明日一緒に講堂に行こう?」

「わかった」


運営の希望者は明日の昼休みに講堂に集合らしい。なにするんだろう。



「運営の希望者はこれで全員か、良く集まってくれた」


他の学年の体育教師らしい、ガタイの良い先生が講堂を見渡して言う。

集まった生徒全員に説明が書かれたプリントが配られた。

そして口頭での説明。プリントあるからいいでしょ……と思う。


「……説明は以上だ、さっそく明日の作業からよろしく頼む」


作業は楽しそうだからいっか、と思いながら今日のところは解散する。


「じゃあ、教室戻ろっか」


そう言って歩き出したとき、後ろからバタバタと走ってくる足音と聞き慣れた声がする。


「せんぱいも運営やるんですね!」

「まあ、最後だしやってみるかなって」


結花は振り返って姫宮の姿を視界に捉えた瞬間、するりと俺に腕を絡ませてくる。そして、ぐいぐいと俺を自分の方に引っ張る。

柔らかいものが、俺の腕にばすばす当たってる。


結花は、「あっち行かないでね?」って感じの目をして俺の顔を見上げてきたあと、姫宮に冷たい視線を向ける。


……心配しなくても大丈夫だって!


「あ、一ノ瀬先輩もやるんですね」


さっきから隣にいるの気づいてただろ、とツッコミを入れたくなる。


「ゆうくんと一緒にやりたいな、って思ってね」


結花は思ってたことをそのまま口に出す。

もう火花がバチバチと散っているような。


「うん、俺誘われた側だしね」

「それってアピールですか、先輩方」


姫宮にジト目で言われる。うん、アピールだけど問題アリ?


「まあ、楽しみましょうね!」


姫宮は楽しそうに満面の笑顔で言って、手を振りながらどこかへ走っていった。

たしかに、楽しくはなりそうだ。……荒れそうではあるけれども。


「……最後の体育祭、楽しいイベントにしようね?」

「うん!」


俺は力強く頷く。最後の、って言葉で、もう3年生なのかという寂しさを少し感じた。


「今から楽しみだね!」


そうにっこり笑う結花を見て、その寂しさは一瞬で吹き飛んだ。


……正直、体育祭そのものよりも明日からの準備の方が何倍も楽しそうだな、とか思ったのは内緒で。











いつも読んでくださりありがとうございます!

来年もよろしくお願いします!


ブックマーク、評価が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ