誕プレ選びwith翔琉
「お待たせ、翔琉」
「全然待ってないから、大丈夫だよ」
「……なぜ俺は朝からラブコメテンプレを翔琉とやってるのだろうか」
俺は頭をかかえながら言う。
「優希が一ノ瀬さんへの誕プレ選ぶから、ついてきてくれないかって言ったんだろ?」
……そうだけどさ。
朝からラブコメテンプレやって?とは頼んでない。
あと妙にクールな感じで言うのやめて? 思い出したら吹き出しそうになったんだが。
「まあ気を取り直して、行きますか」
翔琉はそう言うと、歩き始める。……今日俺メインなんすけど。
「どういうのが良いとかあるのか?」
様々なお店を見てまわっていると、翔琉は俺に心配そうに尋ねてくる。
さては翔琉、俺が計画なしに店を回ってると思ってるな? ……ちゃんと計画はある。
「結花に似合って、俺も着れるような服を探してるんだ」
「ペアルック……!?」
なんでペアルックが必殺技みたいな響きしてんだ。
「彼氏がしてみたいことランキングトップ5には間違いなく入るな。繋がりを感じられてむずがゆいような喜びが……ま、俺も付き合ったらぜひやりたい」
翔琉は謎の早口で前半を言い切り、正直な本音が最後に出てきた。
「じゃあ早く告白しよう」
「……」
分かりやすく静かになるイケメン、本当に面白すぎる。
「こんなのはどう?」
暖かそうなパーカーを指差して、翔琉は言う。
確かに、結花に着てほしいなとは思う。
けど、暑くなってくると出番が減りそうだ。
「んー、それもいいけど……パジャマとかどうかなって」
「なるほど……って泊まりの時だけじゃないか」
「いや……まあ……結構泊まったり旅行行ったりするから」
答えてて恥ずかしくなってきた。
「普通に羨ましいっっ!」
翔琉は両の拳を握りしめて言う。俺も立場が逆だったら、たぶん同じリアクションしてたわ。
冬だったら、もこもこしたパジャマを絶対買ってた。それを着てもらってぎゅっとしたら、気持ちよかったに違いない。
「こんなのは?」
翔琉はベージュの半袖シャツを見つけ出して俺に渡す。
「おお、着てみる」
俺は試着室に入って、さっと試着してみる。
「どうでしょうか」
翔琉は無言で親指を立ててくる。そのキメ顔すんなし。
俺はこれは買いだなと思いつつ、半袖シャツをたたむ。
「上から羽織るのも買っておこうかな」
さっき見たパーカーよりも多少風通しの良さそうな生地のを手に取る。
シャツ+パーカー姿の結花を想像してみる。
チャック付きの、ねずみ色のパーカーで、あえてチャックは閉めないでいてほしい。
俺のベッドの上にちょこんと座っててほしいな。
「……これも買いだな」
そう呟いてからレジに向かいかけて、俺は足を止める。
「どうした?」
「いや、これも……ありだなと」
俺は猫耳つきのパーカーを指差す。俺が着るとなると微妙だが。
「もう買っちゃおう」
俺は、腹を決めてカゴに猫耳パーカーを追加する。ばいばい……諭吉。また会おう。
「喜んでくれるといいな」
「そうだな、あとなにかしらサプライズもしたいな」
そういうわけで、俺たちは買い物を続けた。
いつも読んでくださりありがとうございます!
ブックマーク、評価が励みになります!




