高3スタート!
「今日から、私たちも3年生なのかー」
「なんだか早いよね」
始業式の日、俺たちはいつもよりちょっとだけ早く学校へと向かう。
「クラス替え、どうなるんだろう」
2年の時の成績でシビアに判断されるから、こないだまでいたクラスメイトがいるとは限らない。
「まあ、私はゆうくんと一緒だと思うから、心配ないけどね?」
「そうだね」
結花はいたずらっぽく笑いながらそう言う。
……確かに、その点については心配いらないな。
沖縄から帰ってきてからも、結花との距離がなんだか近いような気がしてずっと心臓がばくばく鳴っている。
なにかしらのトレーニングになってそうだ。
「それに、花奈たちもいるだろうから、今年のクラスも楽しみだね」
「いつものメンバーがいるのはいいよね」
高3でもどたばたした日常を繰り広げそうな予感……!
「もう学校か、結花と登校してたらほんとに早く着くなあ」
「話してたらあっという間だよね」
俺たちは笑い合いながら校門をくぐる。
そしてクラス替えの掲示を見ーー
「優希~~!」
翔琉が猛スピードで走ってきて、俺の目の前でブレーキをかけて止まる。
「ふぅ……お、俺特進クラスらしいぞ!? 優希たちと一緒だ」
走ってきて荒くなった息を整えると、よほど嬉しかったのか、翔琉は勢いよく話し始めた。
「今年も楽しくなりそうですね!」
結花はそんな翔琉を見てそう声をかける。その声は弾んでいた。
「うん。 天野さんと同じだし……優希たちも眺められるし……最後の1年間、楽しみっす」
真ん中の言葉はたぶん俺にしか聞こえてない。
「あ、せんぱいだー! なんだ……先輩たち、か」
姫宮が茶髪を揺らせながら走ってくる。
おい、後半。ちゃんと聞こえてるぞ?
結花は姫宮の姿を確認すると、さっと俺と姫宮の間に立って姫宮の進路を塞ぐ。
……そんなに警戒しなくても、俺はそっちに行かないけど?
「2年になってちゃんと成長した私のこと、見ててくださいね?その……」
姫宮が結花をかわして俺になにか囁こうとしたらしいけど、結花に制服の首のとこを掴まれてじたばたしている。
端から見ればなんだか微笑ましいような光景だ。端から見れば、ね。
「新しいクラス行こっか、ゆうくん?」
姫宮を解放した結花に手を引かれて、俺は新しいクラスへと向かう。
翔琉も少し離れて俺たちについてくる。
教室には、いつものメンバーがもう集まっていた。
「おはよー!」
天野さんの元気な声がする。今年も賑やかになりそうだ。
「……」
姫宮は廊下のドアのところからじとーっと羨ましそうな視線を向けてくる。
……まあ、君はどこかしらでかき乱してくるだろうから心配いらないよ。
俺としては心配だけど。
「結花は春休みどうだった?」
「もちろん楽しかったよ! ゆうくんと沖縄に行ってね……」
楽しそうに春休みの思い出を話しているのが聞こえて、俺はついニヤニヤしてしまった。
いつも読んでくださりありがとうございます!
お待たせしました! 冬休みは頑張ってこの遅れを取り戻したいと思います!
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