沖縄旅行⑤
俺たちはお互いに水をかけあってはしゃぐ。
「うおっ……やったな?」
結花の水鉄砲から飛んできた水が、俺の顔面に命中する。うへえ……けっこうしょっぱいな。
「ご、ごめん……?」
「そう言いながら逃げていくの、やめよう?」
俺は、水鉄砲を片手に砂浜を駆け回って、結花を追いかける。
砂浜を踏みしめる音がなんだか気持ちよい。
俺は結花に波打ち際で追い付いて、しゃがんで水を両手いっぱいにすくう。
結花も同じようにして、2人で水をかけあう。
「ゆうくん、びしょびしょだね」
「結花こそ」
頭から海水を被ってしまった。びしょ濡れな様子がおかしくて、お互いに顔を見合せて笑った。
夕方まで遊びまくったので、2人とも疲れきって、砂浜に腰を下ろす。
「この砂、星の形してるね」
「星砂かあ」
結花はそれらの1つを拾い上げて、沈みかけている夕日にかざして見る。
「ゆうくんと一緒に沖縄に来た証、だね」
そう言いながら微笑む結花の横顔に俺はぼーっと見惚れる。結花の笑顔が、なんだか眩しく見えた。
なんだか夏の終わりみたいな、充実感とほんの少しの寂しさが俺の胸の中に広がる。
……まだ春も始まったばっかりだろ。
俺はゆっくりと立ち上がると、砂浜に座っている結花に手を差し伸べる。
結花が俺の手を包み込むように取って立ち上がる。
結花が立ち上がってからも、俺はその手をぎゅっと握って離さない。
「沖縄も楽しかったね、まだまだ1週間ぐらい遊びたいな」
俺はそう呟いて、結花に優しい視線を向ける。
「うん、明日には帰らないといけないけど……」
「じゃあ、明日までいっぱい楽しみますか」
俺は自分自身にも言い聞かせるように言う。
「そうと決まれば……ホテルに戻ろっか、ゆうくん」
「あ、ちょっと待って」
俺はラッシュガードを手に持って戻ろうとする結花を引き留める。
「どうしたの?」
足を止めて、振り返った結花に近付く。
俺は夕日が砂浜を照らすロマンチックな光景に後押しされて、結花にそっとキスをする。
結花が持っていたラッシュガードが、ばさっと砂浜に落ちる音がした。
「……いきなり、だね」
結花は熱を帯びたような表情をして、言う。
「あ、ごめん……つい」
「いやいや、私は嬉しいよ?」
とりあえず謝ることにした俺に、結花は微笑んでそう言ってくれる。
「昨日の続き……するの?」
「あ、いや……それは……」
昨日の夜は結花とずっとイチャイチャしてて、今日起きるのが遅くなったことを思い出す。
明日帰らないといけないのに、間に合わなくなる気がするんですが。
「……ゆうくんが仕掛けてくるのがいけないんだよ?」
「じゃ、戻ろっか?」と言って、結花は俺の手を引いていく。
結花が小悪魔すぎて怖い。いやまあ嬉しいけどね!
……とりあえず、部屋に戻ったら結花に可愛いらしい角とか尻尾とか生えてないか確認しよう。
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