3度目の買い物
「お待たせしましたー!」
「……おぅ」
つい感嘆の声が出る。
一ノ瀬さんは前買ってた白のワンピースを着ていた。
ほんと清廉って言葉が似合う。
天使って形にしたらこんな感じなんだろうな。
「それじゃあ、行きましょう!!」
都会の方向とは真逆のショッピングモールを目指す。夏休みの都会は人の量が尋常じゃないだろうから。
前回の買い物での事件みたいなことは起こしたくないからね。
……やっぱ人多いわ。
ショッピングモールなめてました。すみません。
通りすがりの人たちが一ノ瀬さんに目を奪われてる。
男がずっと眺めてて、隣の彼女さんにしばかれてるの今日だけで何回も見た。
まあ一ノ瀬さんのことを眺めないでいられる男はたぶんこの世に1人もいないと思うんです!
本人はチラチラ見られてることに全く気づいていないんだけどね。
おしゃれな感じの雑貨店に入る。
家で遊ぶと言ったら何がいいんだろうか……?
トランプとかボードゲームとか?
まあそんな感じだったら一ノ瀬さんも楽しめるだろうな。
「……あのチェス格好いいですね!」
指さしてるのは透明なチェス。
チェスのルールあんまわかんないけど、格好いいイメージはある。
「いいねー、じゃあ買おうか」
ノリと雰囲気重要、これ大事。
あとはトランプと人生ゲームをとりあえず買っておいた。
「じゃあ、さっそくやりませんか?」
「おっけー、負けないからね……ルールは分かんないけど」
最後の一言だけでかなりカッコ悪くなったのは否定できない。
「あ、心配しなくても大丈夫です、教えますよ?」
ありがたいけどカッコ悪さが倍増したような……
家に帰ってきた。
「この駒はこう動くんです」
「う、うん」
俺のすぐ隣に座って教えてくれる。
俺に触れてもそんなに気にせずに教えていってくれる。
意識してるの俺だけ?……恥ずかし。
「それじゃあ、やりましょうか、私も負けません!」
勝負事になったら、普段は天使のような可愛さを持つ一ノ瀬さんも圧倒的強者のオーラを放ちはじめる。
「チェックメイト、です!」
「な……負けました」
今のとこ0勝3敗。
「まだまだ優希くんには負けられません!」
「くやしー」
一ノ瀬さんはえへへーと笑いながら負けず嫌いな一面を見せてくる。
「次はトランプしましょう!!」
「いいよー」
スピードをやるんだけど、、
圧倒的な反射神経。動きが素早すぎる。
(まじで何でもできるじゃん……!)
「チェスも入れたら5勝ですね!」
めちゃくちゃ楽しそう。それなら勝ちを譲った甲斐もあったってもんだ。
……それ、負け惜しみって言うんですよ。一番やっちゃダメなやつ。
最後は人生ゲーム。
これは正直運ゲーだから俺にもチャンスは大有りだ。
「これは負けないよ」
30分後。
見事に負けた俺がいた。
「今日は全勝ですね……!
また一緒にやりましょう!!」
「次は負けないからね、ほんとに」
「ふふっ、それはどうでしょうか?」
一ノ瀬さんは少し挑戦的な感じな笑みを浮かべる。
なんか煽り属性もつけてきた。
「今日は負けまくったけど、久しぶりにこんなにゲームで楽しめたよ、やっぱり一ノ瀬さんと一緒にやったからだろうな……」
「あ、ありがとうございます」
まだ俺の攻めには対応できないらしい。
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