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一緒に運動

週末の午前、俺たちは朝から皇居の前にやってきていた。


結花は、白のスウェットパーカーを羽織り、動きやすそうな黒のレギンスを履いていて、今すぐにでも走り出せそうな雰囲気だ。

長い黒髪も、結んでポニーテールにしている。


俺もこないだランニング用品買ってて良かった。流石に学校のジャージはダサいからなあ。

 ちゃんと動きやすいウィンドブレーカーを着て、俺は結花と一緒に準備体操を行う。

 体をそらす運動のときについ視線が結花の豊満な胸に行ってしまう。くっそ、自分を思い切りビンタしたい。


「けっこう走ってる人いるんだね」

「そうだね、今日ちょっと寒いのに」


 ランニングコースの方に目をやって俺は言う。


既に肌寒い。といっても、体育の持久走でジャージ禁止なのと比べるとこれぐらいの寒さなんて、大したことないけどな。ホント鬼畜だよ。


「結花に付いていけるかな」

「あはは、今日は喋りながら楽しく走る予定だから」

「言ったからね?まあ最後の最後はちょっと競争してもいいけど」

「あ、それいいね」


準備運動を続ける結花にしっかり念を押しておく。まあ最後200メートルとかならなんとかなるだろ。

……あれ、皇居って1周どれだけだっけ。


「たしか、皇居って1周5キロぐらいだったよねー」


情報ありがと……って、5キロは長くないか? まあでも高校の持久走は4キロだったか、あと1キロ伸びるだけか。

なんとかなる……はず。


「それじゃ、行こっか」

「うん!」


俺は靴紐をもう一度強く結び直して、結花と一緒に走り出した。



走り出してみると、思ったよりも皇居の周りの景色とかお喋りを楽しむ余裕はあった。


「案外さ……きつくないね」

「うん、このくらいのペースなら普通に話しながら走れるね」


体育の持久走は、タイムを気にして走らないといけないからきついけど、こんな風に走るんだったらいつまでも走ってられそうだ。


「あ、スタートしたとこ見えてきたよ」

「じゃあ……勝負する?」

「うん。 よーい、スタート!」


結花がそう言ったのを合図にして、俺たちはスピードを上げる。


「あはは、速いね」

「ゆ、結花こそ」


俺はぴったりと結花の横に並ぶ。


結花の方を覗き見ると、風で髪がなびき、スピードを感じる。

こちらの視線に気付いたらしい結花は、微笑みを見せる。


競争をしているはずなのに、その表情に見惚れてしまう。


俺たちは横一線でゴールして、1周5キロを走り終えた。

大きく息を吸ったり吐いたりして、呼吸を整える。


「お疲れ様、ゆうくん」


走り出す前は肌寒くもあったけれど、結花は額の汗を拭きながら、爽やかな笑顔を見せて言う。

 ……っていうか速すぎないか、結花。俺、たしか体育の持久走、男子の中でもまあまあ速い部類だったはずなんだけどなあ。


「うん、結花もお疲れ様」

「楽しかったね」

「こんなに走るのって楽しかったんだね、また一緒に走ろう」

「私はいつでも大歓迎だよ」


俺たちは、息もだいぶ整ってきたのでゆっくり歩き始める。


「カロリー消費したことだし、何か食べて帰る?」

「あ、いいね!」


たしか正月分のカロリー消費が目的だったような……とふと思う。まあ、また今度結花と走ったらいいか。


「なにがいいかな?」

「そうだねー……」


結花といたら、ほんとになんでも楽しくなる。















いつも読んでくださりありがとうございます!


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