ボウリングでダブルデート?
俺たちはボウリング場に到着して、レーンの前に立つ。
「じゃあさ、私と成瀬くんvs結花と一条くんでやらない?」
「いいね、面白そう! まあ負けないからね?」
勝負をすることになって、結花は持ち前の負けず嫌いを早速発揮している。
とりあえず俺がやり方教えるところから始まるんですが結花さん。まあ教えるのは大歓迎なんだけど。
天野さんと一緒のチームになれて良かったな、翔琉。
そう思いながら翔琉の方を見やると、こちらの視線に気づいてガッツポーズしてた。もう付き合えよ。
先攻はじゃんけんの結果俺たちになった。
「あれ……?」
結花が勢いよく一投目を投げる。がしかし、球はピンの目の前でカーブしてピンは1本しか倒れなかった。
「まあ、ニ回目あるから大丈夫だよ」
結花が投げたボールは、今度はさっきと逆方向に曲がっていき、追加で2本倒した。
「……ゆうくん、お願い」
「うん」
結花は若干肩を落としてるように見える。
俺は(見た感じは)力強く頷く。やるの中学生ぶりだよ……。なんか球重くないか?
俺はゆっくりと腕を振り上げ、まっすぐ力を伝えるイメージで球を離す。
「「「おおー」」」
俺の離したボールはまっすぐ転がっていき、ピンを8本倒した。あと2本は揺れたのに倒れてくれなかった……ちくせう。
ニ投目は普通に、残ってた2本が倒れた。スペアってあんまり盛り上がらねえな……。やっぱストライク狙うしかない。
「じゃあ次、私たちだね!」
天野さんは7本+2本、翔琉は8本+1本。
……あれ、皆上手いな。
「ゆうくん、もう一回教えてもらってもいい?」
「うん、さっきの見てた感じ、もっとゆっくり投げてもいいんじゃないかな」
俺はボールを持つ結花に寄り添いながら教える。
「……こう?」
結花はさっきと比べてかなりゆっくり球を投げる。
結花の投げた球は、俺たちのまっすぐ進んでくれ……!という期待に応えて、7本ピンを倒してくれた。
そして追加で2本、合計9本。
しかし、なぜか俺たち4人の周りからは歓声に混じってため息も聞こえてくる。
なんでだよ、制服美少女がボウリングしてるんだぞ? それだけで癒しではないでしょうか。
俺はさっきの、勢いよく球を投げる結花の姿を思い出してみる。
……あ。なんでか分かったかも。
ため息ついたやつ全員ピンの代わりに立ってもらっていいかな? 俺が相手してやる。
「やったよ、ゆうくん!」
結花は俺のとこに駆け寄ってきて、ハイタッチをする。その瞬間、結花の大きな半球が揺れる。ボウリング球ぐらい体積あるんじゃないか?(思考停止)
周りから舌打ちが聞こえたかも。
やべ、俺がピンにされちまう。
「流石のチームワークだね、でも今は私たちが勝ってるからね?」
「うん、俺が頑張らないとな」
天野さんにちょっと煽られながら、俺はボールを持ってレーンの前に立った。
その後、俺たちは僅差で最終フレームを迎える。
2人ともスペア以上+αができないと敗北だ。
「頑張るから見ててね、ゆうくん?」
真剣そうな表情でそう言い残して結花はレーンに向かい、ボールを投げる。
どうなる……?
「やった!」
結花にとって本日初めてとなるストライクをここで出してきた。勝負強すぎる。
しかも、そのあとも7本+3本でスペア。
結花は、さっきの真剣そうな表情とは打って変わって、満面の笑顔で俺の方に戻ってきた。
……これ、俺も失敗できないじゃん!?
俺はカッコ悪いところは見せられないな、と思って気合いを入れて一投目を投げる。
ピンにボールが当たった音が気持ちよく響く。
ニ投目もストライクで、三投目は8本倒した。こんなに最終フレームが上手く行ったのはたぶん初めてだ。
「ゆうくん、かっこよかったよ!」
結花は少々興奮気味に、頬を赤く染めて、俺の両手を握りながら言う。
「おお、ありがと」
結花にそんなに喜んでもらえるとは……。ボウリングってこんなに達成感得られるものだったんだな。
「まあ、まだ勝負は終わってないからね?」
実は天野さんも相当な負けず嫌いだったりするのか?
翔琉と天野さんまで投げ終えて、結果発表の時間がやってきた。
「結果は……結花、一条くんペアの勝ち……? え、私たちじゃなくて?」
スコア表を見ながら、天野さんが不思議そうに言う。
「まあ、付き合ってるから、チームワークで俺たちが勝てたんじゃない?」
「マウント取ってくるなよー」
俺が言うと、翔琉は笑いながら俺の肩を軽く叩く。
はやく付き合えよ、ってことだよ。
「ま、楽しかったから、この4人でボウリング大会定期開催しますか!」
「うん、また一緒にやろう?」
結花は優しく微笑んで、次いつやる?って言ってる天野さんと話している。
「楽しかったな、翔琉」
「おう、俺としてもめちゃくちゃ楽しそうな天野さん見れて良かった」
「あと、いちゃつく2人も見れたしな」
翔琉はニヤッとして付け加える。
自分もラブコメしてるのに、俺たちのことも眺めてるんだな。この男、ほんとにラブコメ大好きだな。
俺も、またこのメンバーでどこかに行くのが待ちきれないほど楽しみになった。
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