休み明けの放課後
「やっと終わったあ……」
休み明け初日の放課後を迎えて、俺は机の上に突っ伏す。
初日は午前中で終わってくれたけれど、それでも負担はだいぶある。
「……ゆうくん、帰ろう?」
周りのクラスメイトたちがバタバタと教室を後にしていくなか、結花は俺をツンツンとつついて起こす。
「あ、ごめん」
「ううん、大丈夫だよ」
顔を上げると、窓から差し込むあたたかな日の光に照らされてる結花がいた。
俺は少しの時間だとしても待たせてしまったことに若干罪悪感を感じつつ、急いで教室を結花と後にする。
「このあと、どこか行きたいな」
「あー、いいね!」
俺たちはそんな風に話しながら校門を出る。
「おー、優希!」
「久しぶりー、結花!」
校門を出た途端、謎の2人組に捕まる。まあ、某イケメンとツッコミ担当の2人なんですけど。
「冬休み遊びたかったのに、遊べなかったから寂しかったー」
そう言いつつ天野さんは結花に抱き付く。結花は「ごめんー」と言いながら天野さんのいちゃつきに無抵抗なまま抱きつかれて微笑む。
「今ので多くの人が助かったな」
「ああ、今のは助かる(?)な」
良く分からないけど、俺の心は温かくなりました。たぶんそちらの世界にもうお邪魔してます。
「一条くん、あんまり結花を独占しすぎるのはだめだぞー? 私にもちょっと結花を味わわせてよー」
「……おう」
天野さんは結花に密着したまま、俺の方を見てジトーッとした視線を向ける。
女子ふたりがいちゃつきあったままなので、俺は翔琉と話すことにする。
「冬休み、どうだったの? てか告ったの?」
「まだ」
「おい」
一緒に校門前で出待ちしてるから、もう付き合ってんのかと思った。
「いやまだちょっと早くないか?」
「まあ焦らなくてもいいんじゃない?」
「急にテキトーだな、てめ」
女子かって言いたくなるほど振り回されてる翔琉を置いて、結花の方に行く。
「そうそう、これからどこか遊びいかない?」
天野さんは結花から離れて、パッと手を合わせながら言う。
「楽しそうだね。ゆうくん、どうする?」
「まあいつでも結花と2人で遊べるから、たまには皆でってのもありだね」
「それ、結花独占禁止法違反」
「いいね、どこ行く?」
翔琉も話の輪に加わってくる。
「カラオケとかは?」
「あーそれはやめとこ、うん」
俺はノリノリで提案してくる天野さんを止める。結花の歌ってどんな感じなんだろうか、と思うけど。
おい、某イケメン。俺は結花の歌聴きたいんだけど。
「そうだな、ボウリングとか?」
翔琉もカラオケという選択肢をなくすべく、ボウリングを候補に挙げる。
「たしかにボウリングもいいね、結花はどう?」
俺は結花にいちおう聞いてみる。
「やってみたかったんだよねー、やり方教えてくれる?」
「じゃあボウリングにしゅっぱーつ!」
天野さんが元気よく言って、俺たちは歩き始めた。
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