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俺、夕食作ります

昨日に引き続き、俺は一条家の夕食を担当することになった。


今日の夕食のメニューは、赤飯とお惣菜とお雑煮だ。


お正月らしい夜ご飯だな、と思う。


さっきの買い物で買ってきた食材を冷蔵庫から取り出していく。


赤飯とお惣菜はほぼ手を加える必要がないから、俺が作るのは実質お雑煮だけだ。こないだよりイージーかも。


「隣で見ててもいい?」


結花は向こうの手伝いを終えて、手持ち無沙汰になったらしく、俺の隣にひょこっと現れる。


「椅子出そっか、疲れたよね」

「疲れてないよ? ゆうくんの家族って、ゆうくんっぽさがあってなんだか落ち着くな」

「俺っぽさ……? まあ座って」


俺は折り畳み椅子を出しながら言う。


「あ、ありがと」


結花は椅子に腰掛け、俺が作業しているとこの左側の流しの縁に腕を乗せて、俺の方を眺める。


「……ゆうくん、ほんとに料理上手になったよね」

「ん、ほんと?」


俺は大根を刻みながら、結花に尋ねる。


「ほんとだよ、なんだか頼もしく見える」

「……まじで?」


そこから俺の作業スピードは格段に上がる……はずだったんだけど。

俺はスマホに表示されたレシピを見て、手を止める。


「にんじんの飾り切りってどうやるの?」

「それはねー」


結花はさっと立ち上がると、俺のそばに立って俺に包丁を握らせたまま、俺の手を上から優しく包んで教えてくれる。


「こうやって動かしたらいいよ」

「うん、たぶん分かった」


嘘です。分かったのは結花の手がいつも通り柔らかいなってことだけです。


「一回やって見せようか?」

「ぜひお願いします」


結花は慣れた手さばきで、にんじんを花のように切っていく。


「こんな感じかな」

「……やってみるわ」


結花がやってるの見てると、ものすごく難しそうなんだが。

こうか……?


「そうそう、そんな感じ! 上手だよ、ゆうくん!」


結花が褒めちぎってくれる。


にんじんも切り終え、さらに鶏肉も一口大に刻んだので、あとは煮込んで餅を入れるだけ。


結花と一緒にグツグツと泡立っている鍋の様子を眺めていると、視界のはしっこに俺たちの様子を観察している2人が映る。


「やっぱり若い子たちはいいねえ」

「もうこの家は2人のものでもいいな! 俺たちは近くのマンションにでも引っ越すか!」


なに恥ずかしいこと言ってくれちゃってるの……。



「できたよー!」


俺は皆の前にお雑煮が入った器を置いていく。

見栄えが良いように、かまぼこも追加した。


「「「美味しそう……!」」」


皆に食べてもらう前からそんなに良いリアクションしてもらえるとは……。

もう俺、お腹いっぱいだよ。


とは言え物理的にはお腹の容量は0に近いので、皆と一緒に手を合わせて夕食を頂く。


皆が美味しそうに箸を進めているのを見て、俺、成長したなあ……と頬が緩むのを感じる。


結花が噛んでも噛んでもなかなか千切れない餅と格闘して、ほっぺたを膨らませているのが、今日一番俺をお腹一杯にさせてくれた。































いつも読んでくださりありがとうございます!

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今日で初投稿から半年でした、ここまで読んでくださりありがとうございます。

まだまだ続くので甘々な様子を温かく見守ってくださると嬉しいです!

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