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初売り

俺たちは心行くまで凧揚げを2人で楽しんだあと、家に帰ってきた。


「ただいまー」

「あら、おかえり。楽しかった?」

「はい、楽しかったです! ありがとうございました!」


結花は額にかいた汗を拭ってから、爽やかに笑って言う。


「けっこう走ったなー、正月太りの分のカロリー消費できたかな」

「いや、凧揚げではできないと思う」

「やっぱりそうか……」


親に現実を突き付けられた。たしかに、いうほど汗かいてないしなあ。


「東京に帰ってから2人で体動かしたりする?」

「あ、いいね」


2人で皇居ランとかやってみたいな、とは前から思っていた。

そう言えば、結花とあんまり体動かしたりしたことないな、クラスマッチの練習ぐらいしかしたことないかも。


「あ、この後買い物行こうと思うんだけど、どうする?」


母さんが思い出したように言う。


「行きたいです!」

「俺も行こうかな」


買い物で歩き回れば正月太り解消になるのでは……?(ならない)


準備を済ませて、俺たちは父さんが運転する車に乗る。


「涼しいなー!」


父さんはサングラスをかけて、窓を開けて車を飛ばす。

なんでそんなにロックな風貌なんですか? 頭のネジ飛んでるんですか?


「結花、寒くない?」

「うん、大丈夫。こっちに来てからずっと上着借りてるけど、ゆうくんこそ大丈夫?」

「うん。 ……たしかに今日は冬にしては暖かいけどさあ、閉めてくれない?」


俺は運転席の方を覗き込んで父さんに言う。


後ろにも冷風は吹いてくるんだよ。

父さんたちは寒さに慣れてるかも知れないけど、俺たち(特に結花)は違う。


「あ、母さんと2人のときみたいにしてたわ、ごめん」


逆に母さんと2人のときはそのスタイルなんだな……。普段の様子が心配になってきた。


「着いたぞー」

「こんなに近かったっけ」


久しぶりにここのイオンに来たなあ。


「初売り楽しむぞー!」

「「おー!」」


父さんのテンション、高過ぎない?

あと結花のノリ良すぎない? 本格的にもともと家族だったような気がしてきた。


「あの福袋買ってみる?」

「そうだね、良さそう」


俺たちはスポーツ用品店の中を見て回る。

スポーツする用のウエアとか今の家にないから、買っておこうかな。


「ゆうくんと運動するの、楽しみ」

「結花に負けそうで怖いな」


そう言いながら、俺たちはランニングシューズをチェックする。


「体育の持久走トップだったよね、結花?」

「うん、ゆうくんも上位の方だったじゃん」

「ま、まあね」


正直トップの結花と比べたら大したことない順位だったけど。


「これにしようかなー」


俺は有名なメーカーのシューズを手に取る。


「これで結花と楽しく走れたらいいな」


俺は試し履きをした後、カウンターにその靴を持っていく。結花も俺と同じメーカーの靴を買ってた。


俺たち4人は両手に買ったものを持って、車に戻ってきた。


「買いたいもの、買えた?」

「はい! スポーツ用品を買ったんですけど、優希くんと一緒に運動するのが今から楽しみです!」


結花はそう言って、ニコッと微笑んでみせる。


その瞬間、結花の可愛らしい表情に見惚れて俺はじめ3人が固まる。


「……優希、何よりも結花ちゃんを大事にしなさい」

「うん、俺もそのつもり」


3秒ぐらいして、俺たちはやっと口を開けた。


「大事にしてね、ゆうくん?」


結花は俺たちの会話を聞いて、ニヤッといたずらそうな笑顔を俺にだけ見せる。そして、俺の服の袖を引っ張って俺の耳元でそう言う。

さっきまでの可愛らしい表情とは違った魅力が俺を惹き付ける。


 「……もちろん」


 俺は照れながら結花に言った。まじでいつもこんな感じだな。


帰りの車内は、皆の笑い声に満ちていた。




















いつも読んでくださりありがとうございます!


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