今年も一緒に年越し
去年も俺たちは夜更かしして年越しの瞬間を迎えたけど、今年は俺の親もいる、って点が決定的に異なる。
というわけでイチャイチャは封印だ。
ちょっと残念ではあるけれど、家族でほのぼのと過ごすのもありだ。
将来、家庭持ったらこんな感じなのかなと思いつつ、リビングでゆったりテレビを眺める。
「久しぶりにテレビ観たなあ」
「そっか、優希の今の家にはないのか。家具なに置いてるんだ?」
「冷蔵庫とか机、椅子とか、最低限必要なものだけかな」
炊飯器であったり、電子レンジとかはあるからそこまでミニマリスト極められてないです。
しばらく俺たちは大晦日恒例の番組を4人で一緒に談笑しながら見た。
「私たちは部屋に戻るけど、2人はどうする?」
「んー、どうする、結花? 俺は残ろうかなって思うけど」
「リビングに残ろうかな、私も」
結花は俺の提案に対して、笑顔で了承してくれる。
「じゃ、リビングに残るわー、おやすみー」
「うん、おやすみ。まあまだ寝ないから、気にせず過ごしてもらっていいからね」
リビングに俺たち2人が残された。
「ゲームしよう?」
「いいよ、どんなの?」
俺はテレビ台の下の引き出しからゲーム機とソフトを取り出す。
「2人で対戦できる格闘ゲームみたいなの……あ、格闘ゲームがわかんないか」
格闘ゲーム???みたいな表情をしている結花になんと説明したら良いか悩む。
「このゲームはステージから落ちたら負けってルール」
「……なるほど、落ちなければいいんだね」
とりあえず一回コンピュータとやるの見せるよ、と言って俺はCPUと対戦する。
久しぶりすぎて最初は攻撃を避けられたけど、思い出してからは難なく攻撃を当てて倒せた。
「一回私もやってみていい?」
「うん、いいよ」
俺はリモコンを取り出して結花に渡す。
「わあ、難しいね」
なかなか結花のキャラの攻撃がコンピュータに当たらない。
「教えて、ゆうくん?」
「もちろん」
様々なことにおいて、俺が結花に教えることなんてあんまりないので、やっと俺のターンか、とばかりに身を乗り出す。
「このボタンを押したら、こんな感じで近くのキャラに攻撃できる」
「おおー!」
俺は結花に寄り添いながら、操作の仕方を細かく教えていく。
「だいたい分かったかも、ありがと!」
そう言うと結花はコンピュータと再戦する。
やり方を理解した結花にとって、ある程度動きが予測できるコンピュータは敵ではない。
あっという間に敵の残機をゼロにした。
「じゃあ、ゆうくんと一緒にやってもいい?」
「成長スピード速すぎ……」
勝利後の画面を見て、「もう一緒にできるね」って感じにニコニコしながら結花は言う。
「避けるのはやっ!?」
「ゆ、ゆうくんこそ!」
俺たちは白熱したバトルを繰り広げた。
結果は、5戦して俺の3勝2敗。
「悔しい……。けど、初めてテレビゲーム一緒にできて楽しかった」
「俺も、昔やってたときよりずっと楽しかったな。結花と一緒にやれたからだね」
「そう言ってもらえて嬉しい、親切に教えてくれてありがとね」
昔友達とかとやってたときは、皆勝ち負けにこだわってた気がする。
勝ち負けとか関係なしに、結花と同じものを楽しめてるということが嬉しかった。
「他のゲームもやってみたいな」
「おお、じゃあ年越しするまで今夜は遊びまくろう!」
「おー!」
その後、2人で協力して敵を倒したり、探検したりするゲームを楽しんだ。クラフト楽しすぎ。
スポーツのゲームは結花と体動かすと集中できなくなりそうなのでやめとく。ナニのせいとは言わんが。
時計を見て、そろそろ年が変わるね、と言いながらゲームをやめる。
「……今年もよろしく、結花!」
「よろしくね、ゆうくん!」
0時になった瞬間、俺たちは向き合って言い合う。
「これからも、毎年一番最初によろしくって言わせてね、ゆうくん」
「それは俺も結花にお願いしたいな」
俺たちは新年早々、来年以降の目標を決めた。
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