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買い出しと年越し蕎麦

俺たちはさっきまでのイチャイチャを思い出しながら、少し頬を赤くしつつ朝ご飯を食べる。


「昨日は良く寝られた?」


ちょうど母さんが俺たち2人に聞いてくる。


「は、はい! ぐっすりと」

「う、うん、やっぱ今まで使ってた布団は寝心地いいね」

「なら良かった~」


バレてないよね、と俺たちは互いに視線を交わして確認する。危ない危ない。


「今日何しようか?」

「料理作るから買い出し行くよ」

「私も優希くんに付いていこうかな、って思ってます」


母さんに聞かれて、俺たちはパッと答える。


「どっか遊びに行ったりしないの?」


母さんは少し不思議そうに、高校生カップルなら遊ばないの?って感じに聞いてくる。


「まあ、あと3日いるから、お正月に遊べたらいいかな」


俺はそう答える。中学の時にプレイしてたゲームとかどこにやったっけ。あと凧とかもあったような。


まあとりあえず買い出しに行こう。




「今日は寒くない?」

「うん、大丈夫」


家から出る前に、結花に上着を貸しておいた。今日も風が少し冷たい。


「手袋着けるか……」


1年前のクリスマスに、結花がプレゼントでくれた手袋を着ける。

いままであんまりしてなかったのは……手繋ぎたかったから寒さ耐え忍んでた。1人のときは使ってたけど。


「使ってくれてるの、嬉しいな」


結花が気づいたらしく、俺に声をかけてくる。


「めっちゃ暖かいからありがたいです、ありがと」

「そう言ってもらえてうれしい」


俺たちは普段スーパーに行くのよりも長い間、話しながら歩いた。



「スーパー、綺麗だね」

「うん、俺が高校行くちょっと前ぐらいにできたから」

「そうなんだ」


俺たちはスーパーに入り、野菜コーナーを見てまわる。


年越し蕎麦に何入れるかな、蕎麦にはネギが合うかなあ。

あと小松菜とか買うか、まあこれは蕎麦には入れんが。


「小松菜、何に使うの?」

「お雑煮作ろうかな、って」

「ゆうくんがついにそのレベルに……!」


結花が目を丸くして言う。たしかにカップ麺生活を思い返せばこの成長ぶりは自分でも驚くほどだ。


最近いくつかの料理をマスターした俺に期待しててください。



そして、買い物かごに主役である蕎麦と角餅を入れる。


「お正月って感じだね、ゆうくん!」


結花は声を弾ませて言う。


「たしかに、去年餅食べてない気がするな。 あんまりお正月感なかったよね、ごめんー」

「いやいや、そんなことなかったよ! 楽しかったから」

「なら良かった」


俺たちは買い物を終えて、家への帰り道を景色を眺めながらゆっくりと帰った。



夕方になって、俺は家の台所に立つ。エプロン姿の結花も一緒だ。


「優希が台所に立ってるだけで涙出そうなんだけど……」

「そうだな、あの得意料理はカップ麺、って言ってた優希がなあ」


親さん、俺が台所にいるだけでしんみりとしてるんだが。


まずは買っていたわかめを水で戻す。


そして、ネギとかまぼこをそれぞれちょうどいいサイズに刻んでいく。

最近どれぐらいのサイズが食べやすいのか分かってきた。


「ゆうくん1人で大丈夫そうだね」


結花はそう言って、俺の様子を見ている。


お湯で蕎麦を茹でて、同時進行でだしとかめんつゆとかを混ぜ合わせて、汁を作る。


「じゃあ、卵黄だけのせてもらってもいい?」

「うん、わかった!」


卵黄をのせれば月見年越し蕎麦の完成だ。

結花は上手い具合に卵黄と卵白を分ける。まだ俺には出来ない技だ。


「 「お待たせしましたー!」」


俺たちはテーブルに年越し蕎麦の入った器を運ぶ。


「美味しそう……!」


皆で手を合わせて、年越し蕎麦を食べ始める。

俺は皆の反応を待つ。


「……美味しい! 結花ちゃん、ありがとね」

「え、私ですか? 優希くんが作りましたよ?」

「いつも優希に料理教えてくれてたんでしょ?」

「あ、はい」

「ほんとにありがとね」


母さんは結花に感謝を伝えても伝えきれない様子だ。握手しながらずっと言ってる。


「旨い」


そう一言言うと、父さんは箸を置く。


「食べるの早すぎない!?」

「いくらでも食べれる美味しさだからな! おかわりってあるか?」


父さんは立ち上がりながら言う。そんなに気に入ってもらえたのは嬉しいけど……。


「あー、ごめん父さん、全部売り切れた」

「そうか、まあ帰るまでずっと料理担当してもらってもいいぞ! 材料なら用意するから。母さんの料理に近づいたな」

「照れるからやめてよ~」


2人はなんかイチャイチャし始めた。あ、これたぶん遺伝してるわ。


「ゆうくん、ほんとに料理上手くなったね。……将来分担できそうだね」


結花は最後に小声で付け加える。


「え、最後なんか言った?」

「な、なんでもない」


実際は聞こえていたけれど、照れくささからつい聞き返してしまった。


俺も蕎麦をすすり始めた。

口の中で、温まった卵黄がとろけて広がった。






























いつも読んでくださりありがとうございます!


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