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結花とお布団で密着

「結花ちゃん、お風呂行ってきていいよー」

「いいんですか? ……お先に失礼します!」


「そうだな、流石に彼氏と言えども優希が入ったあとはなあ」


父さんはお風呂場に向かう結花を見ながら言う。


なんなら残り湯どころか同じ湯に入ったことあるけど……。まあそのことは言わないが。


「ほんとに結花ちゃんに迷惑かけてない? あの子、可愛いくて、それでいて働き者とかもう理想の嫁じゃん。 無理させたら許さんからな?」


ばっちり釘を刺される。分かってるって。

なんか結花を我が子みたいに大事にしてるな、いつの間にか俺とポジション入れ替わってるかも。


でも、この家の温もりを久しぶりに味わえた気がする。結花も感じててくれたら嬉しいけど。


「ほんとにかっこよくなったんじゃないか?」


父さんは俺をじーっと見て言う。


「いや、2年も経ってないしそんなに変わってないだろ」

「身長も高くなってる気がする。俺とどっちがでかいかな」


父さんは「どう、母さん?」と言いながら俺と背の高さを比べる。子供か。


「ちょっとお父さんの方が上かな、でもだいぶ大きくなってるね、優希」


父さんは「おっしゃあ」とガッツポーズをする。子供か。(2回目)



「お風呂上がりました! 気持ち良かったです」

「それは良かった。じゃあ、色々話聞いてもいい?」

「はい! 大丈夫です!」


結花が戻ってきて、母さんが話を始めようとするのを聞きつつ俺は入れ替わりでお風呂に向かう。



置いてあるシャンプーとか、東京の俺の家のよりも一回り大きい浴槽とか全てが懐かしく思える。


素早く体を洗って、湯船に飛び込む。あったけえ……。



ほどよく暖まったかな、と思いお風呂から上がる。

最近1人でお風呂に入るとき、その時間がどんどん短縮されてる気がする。

ぼっち耐性下がったな。



この家に住んでいたときは、俺はいつも和室に布団敷いて寝てたなあ。


そう思いながら、パジャマに着替えた俺は和室の襖を開ける。


「おかえり、ゆうくん」


そこには、床に敷かれた真っ白な布団の上にちょこんと座っている結花がいた。


しかし、その布団って俺が前使っていたやつだよな。ってことは1人用だ。


親さん……!? なんでお風呂の配慮はあるのに夜はこうなの?


「? ちょっとこの部屋寒いから、早く布団に入らないと冷えるよ?」

「そ、そうだね」


結花に促されて、俺は布団に潜り込む。


「たしかに、2人で入ったら暖かいな」

「そうでしょ?」


若干足の先が冷えるので、もぞもぞと、布団のより中の方へと動く。少し動きづらいが。

結花の服の袖と俺の服の袖がすれあうぐらいの密着度合いだ。


「狭くない?」

「うん、大丈夫だよ。くっついた方が暖かいし」


そう言って、結花は俺にさらに近づいてくる。


……たしかにそうだけど!


結花は計算してデレるときと、素直な言動がデレになってるときと両方あってどっちも破壊力抜群なんだよ。今回は後者の方のようで。


「ゆうくんの顔、見えてきた」


目が暗さに慣れてきたらしい。俺も、徐々にだけど結花の顔がぼんやり見えてきた。


「近いね、ゆうくん」

「う、うん」


結花はニヤっとして言う。

結花の顔は、文字通り目と鼻の先にある。


結花のことを照れさせたいなと、ふと思う。※現時点で圧倒的劣勢


「ねえ、結花」

「んー、どうしたの、ゆうくん?」


結花は俺の目をまっすぐ見て聞いてくる。


「俺、この時間が一番好きだな。こうやって結花と、まったりして……ずっと一緒にいたいって強く思えるから」

「うん、私もおんなじ」


俺は本心からの言葉を伝える。照れさせたいのはあるけど、言葉自体は純度100%の本音だ。


「……ありがとね、嬉しい」


結花はそう言って俺の方にさらに寄ってくる。え、ゼロ距離になりますよ……?


「……!」


結花の柔らかい唇の感触。

とろけるような、甘いような感じ。

恋が燃え上がるような熱が、体中にじんわりと広がる。


「……嬉しかったから、お礼だよ」

「おお……うん」


結局俺が照れてんじゃねえか。

今日の対戦成績は、1勝1敗ってとこだろうか。


まあ照れさせの勝ち負けがどちらでも、結花といるときだけの胸の高鳴りを感じられたので結論俺優勝、対あり。


俺は満足して、眠気に打ち負かされて瞼を閉じてしまった。これは負け。


◆◇◆◇◆



「せっかく誰にもバレないのに」


私は、すやすや眠ってしまっているゆうくんを見ながらぼそっと呟く。


「そうだ、明日朝早く起きてゆうくんを起こしたらいいんだ」


我ながら、結構名案かも。


「んー」


ゆうくんがなにやら唸る。あ、さっき思い付いたこと声に出てたか。


「そのまま起きてくれてもいいけど」


私は、夢の世界の中にいるゆうくんに、聞こえてほしいなと少しの希望を持って言う。


「まあ、明日早く起こしてあげよ」


私はこの時、自分が起きれない可能性を見落としていた。






























いつも読んでくださりありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[良い点] なんと言っても最後の一行。 [一言] 更新ありがとうございます。 楽しく拝読しております(^^) それまでの甘い雰囲気をラスト一行でうっちゃり、お見事! 続きを楽しみにしております。…
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