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実家に到着

俺たちは電車に乗り込み、買った駅弁を2人でつつく。


「ゆうくん、厚着しすぎじゃない?」


暖房が効いた電車内で、結花が俺に聞く。


現在の俺の格好と言えば、ジャンパーを下に着てその上にまたコートを羽織る、という対空っ風レベル10の服装だ。体積でけえ。


「だるまみたいになってるよ、ゆうくん」


結花がくすっと笑いながら言って、俺も流石に電車内は暑いな、と感じてコートを脱ぐ。


まあたしかにこれはフル装備過ぎたかもしれねえ……。高崎名物のだるまを意識したわけではないけど。


しかし、関東内陸はほんとに寒いんだよ……。

真冬に薄着で駅伝走ってるけど、風邪ひかないのか心配になってくる。


 電車の外に出たときにどれぐらい寒いかだな。



俺たちは窓の外の、冬景色の関東平野を眺めながら駅弁をまた食べ始めた。


「2人で夏に伊豆行ったの、思い出すね」


俺は思い出を振り返りながらしみじみと言う。


「一緒に色々なとこ行くの、ほんとに楽しいよね」


俺も、いくら時間がかかろうが結花と一緒ならどこへでも行きたいと思う。



2時間ぐらいかかって高崎まで着いた。実家に帰ることを決めたのが遅すぎて、新幹線は予約取れなかったんだよな。

ま、在来線の方が旅してる感じあって好きだけど。

……1人だったら新幹線に立ってでも乗ってます。


そして乗り換えて、前橋の少し先の、実家の最寄り駅で電車を降りる。



「んー、懐かしい空気だなあ」


俺はおもいっきり体を伸ばしながら言う。


「空気、きれいな気がする」


結花も肺に新鮮な空気を入れるように大きく深呼吸をする。


そして、さあ歩き出そうかとした瞬間に、冬の群馬名物の空っ風がいきなり吹き荒れる。


さっそく洗礼を浴びて、俺と結花は2人とも身を縮める。


「ゆうくんみたいに厚着するのが正解だったかも」


結花はそう言って、少し寒そうな顔をしながら笑う。


その様子を見て、俺はさっき電車で脱いだコートをごそごそリュックから取り出し、結花の背中にそっとかける。


「わ……ありがとう。ゆうくんは寒くないの?」

「うん、このジャンパー結構暖かいからだいじょぶ」


結花はコートの端をぎゅっと握って、コートにくるまる。

茶色の、大人っぽいコートを着ているけれど、その姿はなんだか子供みたいで、守りたいとまで思う。


俺は結花を隣で見守るように眺めながら、駅からそう遠くない実家まで道案内をする。



「ここが俺の実家だよ」


田んぼが広がる中で目立っている、わりと最近建てられたとすぐ分かる整えられた現代風な外観。


「わあ、綺麗だね。それに、広くない? 一軒家羨ましいなあ」

「ま、土地はあるからね」


俺は笑いながら返す。


インターホンを鳴らすと、玄関のドアから、母さんが顔を覗かす。


「あ、早かったね」


そう言うと、結花の方を見て微笑みながら、こんにちは、と挨拶をする。


「こ、こんにちは! 一ノ瀬結花です。よろしくお願いします」


結花は勢いよく頭を下げて挨拶をする。


「優希にはもったいないような彼女さんだね、ほんとに」


母さんは笑いながら言って、俺たちを玄関の中に招き入れる。


「あんまり物とかないけど、楽しんでいってね?」

「私は、優希くんといるだけで楽しいので大丈夫です!」

「結花ちゃん、お嫁さんに貰いたいんだけど。私のお嫁さんとして」


母さんは結花に謎の告白をしている。……新しい恋愛の形すぎる。


俺は、実家の懐かしさとか色々を感じて、これからの数日間がとても楽しみだと思った。
















いつも読んでくださりありがとうございます!

久しぶりの更新になってしまい、すみません……。


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