皆で人生ゲーム
「ゲームって何するの?」
「皆でできるのかな、何かある?」
「えー、トランプとかかなあ、まあ探してくる」
俺は押し入れの中を探る。そもそもあまり物はないからあるならすぐ見つけられるはずなんだけど。
「あ、いいのあった」
俺は小さな山から人生ゲームの箱を引っ張り出す。
「これはどう?」
俺は皆の前に人生ゲームの箱を置く。
「おー、楽しそう!」
「これなら勝負も分かりやすいですね!」
ってことで6人で人生ゲームを始める。
「一ノ瀬先輩、負ける覚悟はできてますか?」
「随分自信があるみたいだけど、運の強さならたぶん負けないよ?」
始まる前から2人は火花を散らしている。ほんとに人生かけてんのか、って勢いなんだが。ゲームだから落ち着いて?
サイコロを振る順番は、結花→俺→翔琉→天野さん→橘さん→姫宮と決まった。
「さっそく一番最後みたいだけど……」
もう既に負けてる気がする。
「いやいや、逆転しますから。それに、ゴールの速さじゃなくてお金の多さを競うんですよ?」
「あー、そうか」
人生ゲームとか久しぶり過ぎてルール忘れてた。
皆何ターンか回った。まだ序盤なので所持金の差はほとんどない。
結花がサイコロを振る。4マスか。進む先は……結婚のマスだな。
結花は俺の方をじっと見て、「ゆうくん」と小さく呟き、期待のこもった目をする。
若干さっきよりも俺の方に寄って座ってるような気もする。
「結花、これプレイヤーどうしで結婚するわけじゃないみたいだよ?」
天野さんがボードをよく見てからツッコむ。
「え……?」
結花はボードの説明をもう一度見る。
「……ほんとだ」
結花は恥ずかしそうに、素早く俺にサイコロを渡してくる。
「一ノ瀬先輩、『ゲーム』ですよ? ほんものじゃな」
そこから先は聞こえなかった。たぶん隣の橘さんになにかしら攻撃を食らったんだろう。おつかれ。
翔琉と天野さんは俺と結花の方を見て、「イチャイチャしてますねえ」と言い出しそうにニヤついていた。
あんたらすぐ仲良くなったな。
……俺はプレイヤーどうしでも良かったんだけど。
そしてまた数ターンが巡った。次は姫宮の番だ。
3の目が出た。進むのは……子供が生まれるとこだ。
「子供って何人ぐらいがいいですかねー、先輩?」
なんでそんなこと俺に聞くんだよ。
俺はこいつアホなの?って目で姫宮を見る。
「さっき『ゲーム』だって言ってたよね?」
姫宮は結花からさっきのカウンターを受けている。
「うっ……。それはそうですけど。参考までに?」
「なんの参考にするんだよ」
「ううう……」
鋭い攻撃を連続で受けて、姫宮はどうにもできなくなっている。まあこれぐらいで許すか。
「まあ、結花を挑発するのは100年早いってことだな」
俺はそう言って転がっているサイコロを結花に渡して、ゲームを続行する。
勝負がどうなるか楽しみだ。
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